- 会員限定
- 2016/03/28 掲載
過熱するシェアリングエコノミー、スペースマーケット 重松社長の自信と戦略
「常に施設を探している」ユーザーと、「稼働率を上げたい」施設側をマッチング
設立: 2014年1月8日
従業員数: 25名(2016年3月現在)
資本金: 63,826,900円
所在地: 東京都新宿区西新宿 6-15-1 ラ・トゥール新宿 502
事業内容: 「スペースマーケット」の運営、イベントプロデュース事業、プロモーション支援事業
──まずは、重松さんの経歴をお聞かせください。
重松氏:2000年に大学を卒業し、新卒でNTT東日本に入社しました。NTTでは、法人営業の企画セクションで、回線の販売やユーザー向けのPRを担当していました。30歳を手前に、今後のキャリアを考えていた頃、ちょうど同期の友人が、フォトクリエイトという写真のビジネスを起業していて、声をかけてくれました。そこで、2006年に転職しました。
フォトクリエイトでは、新規事業のほか、広報、採用などを担当し、新規事業ではウェディング事業などの立ち上げにも携わりました。入社当時、20人くらいだった会社は120〜130人くらいまで成長し、2013年には東証マザーズへの上場も果たしました。上場を機に、今度は自分でも何かビジネスをやりたいという考えが膨れあがってきました。そして2014年1月、ユニークな遊休スペースを法人・個人で簡単に貸し借りできる「スペースマーケット」というWebサイトを立ち上げ、その会社を創業して今に至ります。
──企業等の遊休スペースを活用したビジネスというのは、最初から着想されていたのですか?
重松氏:最初から今のビジネスを志向していたわけではなく、どの領域で起業したら面白いかを考えました。まず、自分の強みは、法人営業、PRなどの分野を経験してきたことです。次に、ITの力でスケールすることを考えました。営業は労働集約型の仕事なので、それだけではビジネスはスケールしないからです。
これらを軸に、さらに、ビジネスモデルやルールが変わっている分野を探していました。欧米で勢いが盛んなシェアリングエコノミーは、今後も日本でも広がってくるだろうと考えました。
──AirbnbやUberなどが、既存のビジネスモデルの“破壊者”として盛んに取り上げられています。
重松氏:日本では、旅館業法の規制もあり、民泊はまだまだ難しい面があります。しかし、スペース貸しなら、ニーズに応えられると思いました。前職の経験でも、イベント主催者のニーズを強く感じていました。たとえば、ウェディング事業の営業先である結婚式場は、平日の稼働率を上げることが大きな課題でした。そこに、法人の宴会や会議をマッチングができればニーズに応えることが可能です。
スペース貸しにマーケットの需要はあるのか?
──スペースマーケットを取り巻く市場のニーズについてはどう見ていますか?重松氏:マーケットの需要として多いのは、法人利用では、会議やセミナー、研修系など、企業活動に関わるニーズです。個人利用では、パーティや同窓会など、貸し切りでイベントをやりたいというニーズが結構あります。
貸し会議室のマーケットは4,500億円、イベント市場が約2兆円、ウェディング市場は1兆円超と言われます。海外では、欧米を中心にシェアリングエコノミーの先行サービスがたくさんあり、スペース貸しのシェアリングサービスも盛んです。
──施設を使いたい人を、一体どのようにして集めているのでしょう?
重松氏:個人向けにはWebサイトへの流入が一番で、メディア掲載等によるサービスの認知も重要なポイントです。法人向けには、イベントのお手伝いなどで間接的にサービスを告知することもあります。
──今、営業担当はどれくらいいらっしゃいますか?
重松氏:スペースの仕入れを担当する営業が5人、Webサイトの写真や表現についての改善提案をする担当者が2人、その他、イベントコンシェルジュ担当などを含めて12、3人ほどの体制です。
──施設側へ「こういう風に露出した方がよい」といったようなアドバイスも行っているのでしょうか?
重松氏:コンバージョン向上のためのアドバイスは日常的に行っていますし、オーナー向けに改善提案する勉強会のようなものも開催しています。コンバージョンが上がれば、ユーザーも嬉しいですし、オーナーも儲かります。もちろん、我々も嬉しいです。
重松氏:スマホアプリによる利用率が高まっているので、この利用頻度を高めたいです。また、ユーザーレビューがうまく蓄積される仕組みを意識していて、投稿された指摘を参考に、サービスを改善することにも取り組んでいます。
もちろん、利用者の成功体験がリピートにつながるという意味では、登録スペース数を増やすことも大事なポイントです。
──サイトも使いやすく、UXについてはかなり積極的に取り組んでいる印象を持ちました。
重松氏:サイトのUXについては、創業当初からのメンバーであるCTOが、フロントもバックエンドの双方に精通しているので、プロデューサーとしてデザインチームを束ね、随時改善しています。
競合サイトである、既存のオフィス等のスペースの検索サイトは、機能を紹介する検索サイトとしてのUIがほとんどでした。我々はサイトを通じ、まったく違う体験を作りたいと考えています。
【次ページ】 「大きなポータル」に育てていきたい
関連コンテンツ
PR
PR
PR