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- 2015/03/30 掲載
今起きているのはデータ革命──ビッグデータを上手に活用するため、最低限必要なこと
ビッグデータを可能にしたのはデータの爆発とクラウド
このパネルディスカッションは、前半にパネリストがそれぞれ短くプレゼンテーションを行い、後半にディスカッションという形式で行われた。今日は、ICTのコンシューマライゼーションが進み、消費者が情報発信を行い、さまざまな機器がセンサーを持ち、それがインターネットに接続されるようになった。これらにより取得できるデータが爆発的に増え、広大なデータセンター群によって実現されるクラウドコンピューティングが、それらを一元的に格納することを可能にしている。そのため、「そこからビジネスに有用な新たな事実を発見する可能性が高くなっている」とラスキーノ氏は力説する。またここ数年は、先進国を中心に政府がオープンデータとして多くのデータセットを提供しており、この気運の背中を押している。
もちろん、ビッグデータ活用においてセキュリティと倫理の問題は十分考慮する必要はあるとラスキーノ氏は語る。ここでその責任を担う新しい職業として、組織の中にチーフ・データ・オフィサー(CDO)とデータサイエンティストを置くことをガートナーは提案している。前者はデータの正しい活用を監視する保安官のような役割を、後者はデータの山の中から新しい価値を導き出す役割を果たす。こうした存在がビッグデータの円滑な活用を推進するとラスキーノ氏は語った。
データサイエンスを支える最新テクノロジー
それはこれまでのBIソリューションへの挑戦だったという。伝統的なBIツールはプログラマーやデータアナリストのような専門家を必要とする上に、分析結果が出てくるまでには数日から一週間もかかる。一方、Excelはエンドユーザーに開かれたツールではあるが、扱えるデータ量や分析手法に限界がある。
「今日、データボリュームは爆発的に増えており、ソースやフォーマットもさまざまだ。Tableau Softwareは、それらのデータをすべてのユーザーがもっと簡単に効率的に、文字どおり目に見える形でデータの意味を理解できる方法を提供する」(フィンク氏)
その後フィンク氏は、同社製品を使い、クラウド上にあるGDPデータを例にとって、地域別、年代別、国別など次々に切り口を変えながら、ドラッグ&ドロップ操作だけでビッグデータをビジュアルに可視化する様子をデモして見せた。すでに顧客はテスラモーターズから日本の良品計画、NECまで多くの企業が採用、ビッグデータ・ソリューションに役立てていると胸を張った。
同社のCEO兼共同創業者 芳川 裕誠氏は、プレゼンテーションの中で、日本が必ずしもビッグデータ活用で遅れているわけではないと意見を述べた。そして日本の先進事例として、無印良品がリアル店舗のデータとオンライン店舗、モバイル店舗のデータを統合して、双方向でその傾向を反映させ始めているケース、自動車関連メーカーが自動車に搭載している数百ものセンサーの情報をマーケティングに活かそうとしているケースを紹介した。
【次ページ】 決して遅れてはいない日本のビッグデータ活用、重要なのはビジョン
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