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- 2014/08/25 掲載
総合商社 丸紅はなぜAWSへ全面移行したのか?移行に活用したP2V2Cとは?
プライベートクラウド更新、災害対策、ITガバナンスなどの課題解決のためIT戦略を立案
「2008年にプライベートクラウドを構築し、物理サーバ150台を段階的に仮想環境に集約したが、時間の経過とともに、大規模な一括更新という課題に直面していた。また、2011年の東日本大震災をきっかけに、会社から、災害対策としてデータセンターを2カ所にするように指示も出ていた。しかし、それだと物理サーバ・ストレージにかかるコストが倍になり、償却時期の異なるハードウェアが存在することになるため、本当にそれでよいのか、という思いもあった」(徳田氏)
また、グループにおけるITガバナンスにも課題があった。丸紅には約450社のグループ会社があるが、各グループ会社がそれぞれのシステムを独自に維持・管理していたため、ITがバラバラだったのである。そこで、2013年4月、グループとしての最低限のガバナンスを保つため、グループITガバナンスルールが制定された。
「グループITガバナンスルールによって、各グループ会社に災害対策が必要なシステムを洗い出してもらった。そして、我々がグループクラウドを用意し、システムをそこに集約することにした。これにより、グループ各社は、アプリに手を入れることなく災害対策が実現でき、かつコストも下がるというメリットを享受できた」(徳田氏)
そして、情報企画部はグループクラウドも含めたグランドデザインとなるIT戦略を立案。「営業支援ツール」「基幹システム」「グループクラウド」の3つの領域において、「セキュリティ」「コスト」「安定運用」の3点で高いパフォーマンスを発揮できる共通ITサービスの検討が行われた。
グループクラウドにAWSを採用し、P2V2C戦略でシステムをクラウド化
IT戦略の立案では、けっして「クラウドありき」ではなく、自社運用も含めて評価が行われたが、結果としてクラウドが選択されることとなった。その結果、営業支援ツールはSalesforce、メール等のコミュニケーションツールはOffice 365、基幹系とグループクラウドについてはAWSが採用されることになった。「グループ統合ネットワークを構築し、セキュリティ基盤を提供して安全な環境を作り、その上で、グループ各社には、営業支援ツール、基幹システム、グループクラウドを使ってくださいというのが基本的な考え方。もちろん強制ではなく、自社でやりたいところはそれでもよいというスタンスだ。基幹系・グループクラウドのAWS移行後は、本番系がAWSの東京リージョン、待機系がAWSのシンガポールリージョンで稼働する予定だ」(徳田氏)
しかし、絵を描くのは簡単だが、丸紅のように国内・海外に数多くの事業者があると、その作業は困難を極める。 そこで、移行の手法としてはP2V2C(Physical to Virtual to Cloud)戦略が採用された。
【次ページ】IT部門を運用部隊から戦略立案部隊へとグレードアップする
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