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ついに一般企業の間でもAIは実用段階に突入へ
──近年のAI活用の動向について、最前線からどのように見ておられますか。IDCフロンティア 菊石 謙介氏(以下、菊石氏):DX(デジタルトランスフォーメーション)などの観点から、AIや機械学習、ディープラーニングといった最先端テクノロジー活用のニーズは当社も感じているところです。それと関係してか、4~5年ほど前からデータセンターの設備にも、機器を稼働させる電力を含め、求められるスペックが急激に増大していますね。
エヌビディア 佐々木 邦暢氏(以下、佐々木氏):かつては研究機関などの一部の組織に限られていたAI活用が、一般企業にまで拡大している流れを実感しています。
ディープラーニングが世間に衝撃を与えた歴史的な出来事として、2012年の画像認識コンペティション (ILSVRC) が有名です。飛躍的な精度の向上を果たして首位を獲得したトロント大学の論文には、エヌビディアのGPUでAIをトレーニングしたことが述べられていました。GPUの得意とする並列処理が、そのままディープラーニングにも活かせることが広く認識される大きなきっかけになったと思います。
あれから10年経った今では、グーグルやメタ(旧フェイスブック)のような最先端グローバルテクノロジー企業のみならず、一般企業でも、業務効率化のほか幅広い領域でディープラーニングなどのAI関連技術が使われ始めています。AI活用は、次の段階へと突入したと見ています。
──企業の間でAI・機械学習が爆発的に普及している要因は何でしょうか。
佐々木氏:やはり、従来は人間にしか難しいと思われていたタスク、例えば画像や音声の認識などが、AI研究の進展によりコンピューターで処理可能となったことで、今までにない新しいサービスを開発できるからでしょう。そして、それを我々のGPUが支えているのはとても光栄なことです。もともとGPUというのは高精細な3Dグラフィックスを高速に描画するためのデバイスとして進化してきました。その要となるのが、先ほども少し触れた並列処理です。このようなグラフィック処理のためのGPUの進化がAIにも適合していたために、現在のように爆発的な普及につながっています。
もちろんエヌビディアは、GPUのAI活用ニーズが突然降って湧いたため慌てて対応したわけではありません。当社はGPUを進化させる中で、その特徴である並列演算性能を、グラフィックス以外の分野へも応用できると考え、2006年には汎用並列コンピューティングプラットフォームである「CUDA」を発表しています。これは当初シミュレーション演算などで利用され、その後スパコンに搭載されるなどの流れを経て、AIのニーズにちょうど応えることができたわけです。
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