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- 2012/09/06 掲載
その写真は掲載して大丈夫? ──わかりにくい写真の権利について解説
写真の著作権や肖像権、名誉権などの考え方がわかる!
写真の利用に際しては法律上のさまざまな権利が問題となり得る
パンフレットやWebサイト上などで写真を利用する場合には、法律上、さまざまな権利が問題になり得る。例えば、芸能人の顔写真を勝手に利用して自社製品の宣伝画像を作成し、パンフレットに掲載したら、そのパンフレットの公開停止や損害賠償請求を受けることになるだろう。……と、このような極端な例であれば直感的にわかっても、もう少し微妙な例になってくると、法的にセーフかアウトかがわからない、そもそもどのように考えれば良いのかわからない、という人が多いはずだ。
本稿では、写真の利用に際して問題となる法律上の権利と、それらについて考える上での重要なポイントについて、概論を述べる。写真を利用する際に、法律上の問題について考える上での道筋として参考にしてほしい。
撮影者の権利:写真は撮影者の「著作物」である
まず考えなければならないのは、その写真に関する著作権だ。著作権は、「著作物」について、「著作者」に認められる権利だが、例えば油絵が、画家を「著作者」とする「著作物」であるように、写真もまた、撮影者を「著作者」とする「著作物」だ。撮影者の著作権が問題にならない場合としては、大きく分けて4つのパターンがあり得る。
次に、著作者が自分自身である場合。企業の経営者が自ら撮影した写真のみでなく、いわゆる職務著作も、企業にとっては「著作者が自分自身である」著作物だ。ここでは職務著作の詳細については触れないが、一般論として、雇用契約を結んでいる従業員が、仕事に関連して撮影した写真であれば、その著作者は企業となる場合がほとんどだ。これに対し、請負契約で外部の人間に撮影させた写真であれば、その著作者は当該撮影者になることが多い。この場合は、当初の契約を超えて著作物を利用する際、例えばパンフレットへの掲載のみを予定していた写真をWeb媒体にも掲載する際、撮影者から許諾を得るか、再び契約を締結する必要があるだろう。
さらに、著作権が消滅している場合。現行法上、著作権は、著作者の死後50年、または、著作者が不明の場合、公表後50年で消滅する。いわゆる「パブリック・ドメイン」という状態だ。
以上が撮影者の権利だが、ここで重要なのは、「撮影者の権利」と「被写体の権利」は別の問題だということ。一枚の写真の上には、「撮影者の権利」と「被写体の権利」がそれぞれ別々に成立しえるのだ。
【次ページ】 「被写体の権利」についてはどのように考えればよいのか?
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