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- 2012/07/18 掲載
中国自動車保険の開放を勝ち抜く、3つの課題と3つのチャネル戦略
大きな成長を続ける中国の損害保険市場
中国の損害保険は19世紀初頭、まだ清朝の時代に英国商人が海上保険を専門とする損保会社を設立したのが始まりと言われる。しかし20世紀半ば以降の大躍進政策(1958~1960年)や文化大革命(1966~1976年)といった国の大転換期にその機能がほぼ停止、その後、1979年に損害保険の作用と効果が確認され、再スタートを切ることになった。元々中国の損保市場の規模は非常に小さかったが、近年の経済成長を受けて、2000年以降の10年で5倍以上の伸びを示しており、収入保険料は日本円換算で5兆円近くにまで達している。
「日本の損保市場は7兆円。GDPだけでなく、損保規模でも拮抗するようになってきている。」(野村総合研究所 未来創発センター 金融・社会システム研究室長 広瀬真人氏)
また中国の損保の中で最も収入保険料が多いのが自動車保険で、全体の約8割を占めている。その背景にあるのが自動車保有台数の急増で、2010年の時点で自家用車・商用車を併せて1億3700万台以上、将来的には米国の保有台数(約2億8500万台)を抜く可能性も秘めているという。一方の日本は約7800万台で、ここ10年ほぼ横ばいだ。「中国はまさにこれから自動車保険の伸びが大きく期待できる環境下にある」(広瀬氏)というわけだ。
周知のように日本の自動車保険は、自動車の運転者すべてに加入が義務付けられる自賠責保険と任意保険の2本立てだが、これは中国でも同様で、このうち自賠責保険に相当するのが強制保険だ。
中国ではこの強制保険の運用を2006年から始めたが、当初取り扱うことができたのは中国資本で、中国保険監督管理委員会(保監会)の許可を得た損保会社のみだった。日系あるいは外資は独資で損保会社を設立することは可能だったものの、支店の設立には制限があり、また取り扱うことができる自動車保険は任意保険だけだった。
また日本には、任意保険の引受保険会社が自賠責保険も含めて保険金を支払う一括請求制度があるが、中国にはこれがなく、そのため自動車保険の契約者の多くは、保険金請求時の利便性を考慮して、任意保険と強制保険を同じ損保会社で加入しているという現状もあった。
「こうした状況の中で強制保険の外資開放が決定した。日本の各損保会社は、中国での本格的な事業展開に向けて準備を進めている。」(広瀬氏)
強制保険の外資開放は、2012年3月30日の国務院令618号において、2006年7月1日に施工された強制保険に関する条例が改定され、2012年5月1日から施行となったものだ。これにより、中国資本以外の企業でも、保監会の認可を得て、強制保険が取り扱えるようになった。
【次ページ】日本とは異なる事情を持つ中国の強制保険市場
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