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- 2011/11/01 掲載
金融機関のERM進展度を確認する5つのチェックポイント--キャピタスコンサルティング 森本 祐司社長
保険規制の新しい流れを見る
ERMを取り巻く国際的な保険規制の最新動向と国内の動き
森本氏は、東京海上火災保険でALM、リスク管理の業務に従事したあと、日本銀行金融研究所で金融工学関連の研究を行う。その後、モルガンスタンレーなど複数の外資系投資銀行を経て、2007年にキャピタスコンサルティングを設立。国際アクチュアリー会ASTIN委員などをつとめている。
森本氏の講演前半で触れられたのは、保険規制を取り巻く環境として、保険監督者国際機構(IAIS)の動向、ソルベンシーIIの動向、国内の監督規制動向だ。
保険会社を規制していく各国の規制についてのフレームワークを策定するIAISの動きとしては、保険コアプリンシプル(ICP)の改訂について次のように言及した。
「今月(2011年10月)、保険コアプリンシプルが改訂されたが、今後の規制監督の枠組みを考えるうえで重要になる。26個の原則から構成されているが、今後の国内の保険監督・規制の改定を行っていくにあたって、方向性を示唆するものになるであろう」(森本氏)
保険会社版の自己資本比率規制の改正であるEUのソルベンシーIIの動きについては、まだ不確定要素があるとしながらも、次のように説明し、国内の保険業界に注意を促した。
「ソルベンシーIIの枠組みはEUの保険会社に適用されるので、国内の監督・規制に直接関係するわけではないが、実際、日本については再保険分野について評価が行われ、そのレビュー結果ドラフトが公表されており、こうした動きは国内の監督・規制の方向性に多少なりとも影響を与える可能性があると思われる」(森本氏)
国内の保険規制については、検査マニュアル改訂において「統合的リスク管理態勢の確認検査用チェックリスト」が追加されたことが確認され、その意義が説明された。また、今年の2月から3月にかけて主要な保険会社に対して実施されたERMヒアリングの結果についても概要が報告された。
【次ページ】ERMを実装する際に考えるべきポイント
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