TwitterやFacebookの具体的な活用施策
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人と人とのよりスムーズな結び付きを可能にするソーシャルメディア。現在では民間企業でも、TwitterやFacebookが販売促進や顧客サポートなどの場面で使われ始め、さらにその利用は、住民との密なコミュニケーションを図りたいと考える政府や自治体においても有効だ。では具体的にどうすればいいのか。野村総合研究所の提示するソーシャルメディアの活用指標と、効果を上げるための将来策をレポートする。
現在のソーシャルメディア活用における8つのパターン
これまでの情報革命を振り返ってみると、第一段階として、インターネットが“コンピュータ”を繋げるようになった。次にワールドワイドウェブ(WWW)が登場して、さまざまな“ドキュメント”を繋げるようになった。現在は第三段階に相当し、ソーシャルメディアが“人”を結び付けている。
「ソーシャルメディアは、いわばソーシャルグラフ(=人間関係)の繋がりを加速させるもの」と野村総合研究所 消費財・サービス産業コンサルティング部 コンサルタント 伊藤智久氏は指摘する。
実際にソーシャルメディアの利用者数は大幅に伸びてきている。現時点における国内大手3社(mixi、GREE、モバゲー)の会員数は各々2500万人前後で拮抗しており、また国内でのTwitter利用者数は約1500万人、Facebookは約500万人となっている。
「特に東日本大震災を契機に、信頼できるメディアとしてソーシャルメディアの存在感は高まってきている」という。
個人利用から始まったソーシャルメディアだが、今では民間企業でもマーケティングの分野で使われ始めており、その利用シーンは大きく8つのパターンに分類できる。それぞれ「A.商品企画・サービス開発」、「B.販促・ブランディング(ファンの醸成)」、「C.顧客の誘導・送客」、「D.パブリックリレーション」、「E.商品・サービス販売」、「F.商品・サービス改善」、「G.顧客サポート・CRM」、「人材獲得」だ(
図1)。
たとえばスターバックスでは、Facebookを利用して、消費者が“自分のプリペイドカードのお金を友人にプレゼントできる”というギフトサービスを開発した。ギフトは携帯アプリを介して行われ、プレゼントを受け取った友人は店頭で携帯画面を提示することでギフトを利用できる。
同社はこのサービスのアイデアをFacebookページでファンから募集し、さらにそれを他のファンに評価してもらい、反応のよかったものを採用したのだ。新サービスの発表もFacebook上で行い、ファン同士の交流やプロモーションイベント、さらにはサービスの販売や利用もFacebook上でできるようにした。
この事例は、サービスの開発(A)→ファンの醸成(B)→サービスの販売(E)→顧客のサポート(G)といった一連のマーケティングサイクルを実現したもので、「プラットフォームとしてFacebookが活用された」ということだ。
ソーシャルメディアが顧客への“リーチ”と“エンゲージメント”を拡大する
マーケティング分野における8つの機能を一環して実現できるのがソーシャルメディアの利用メリットだが、それではその特性とは一体何なのか。
伊藤氏は「端的にいえば、ソーシャルメディアは顧客へのリーチとエンゲージメントを強化・拡大するもの」と評する。
リーチとは、企業側から“広く浅く”顧客に情報を届けたり、あるいは相手を知ったりする行為のこと。またエンゲージメントは丁寧なサポートをしたり、相手の声に耳を傾けたりするなど、“深く密に”顧客と接する行為のことだ。
たとえば企業が発信者となり、顧客や生活者が受信者となるメディアとしては、郵送/マスメディア/Webサイト/メールマガジンなどが挙げられる。逆に顧客や生活者が発信者となる際のメディアとしてはコールセンターなどがある。
こうした中で、ソーシャルメディアは企業と顧客/生活者がともに、発信者にも受信者にもなることができるメディアだ。これによって企業は、リーチとエンゲージメントの両方を強化することが可能となる。
「リアルタイム性やインタラクティブ性、あるいは社会へのオープン性やパーソナル性といった点において、ソーシャルメディアは従来メディアを補完するものとして位置付けられるだろう。ただし誰でも利用可能かというユニバーサル性については、今後の利用拡大が期待されるところだ」(伊藤氏)
【次ページ】自治体におけるソーシャルメディア活用のための4つの視点
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