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本連載では、人材マネジメントを経営管理の歴史から学ぶ。「なり行き管理」よりも「科学的な管理」の方が効果は高いが、本当に効果を上げるには、 「人間関係」や「個人の満足」など、人間行動の本質が重要であることを理解し、その変遷から、新たな人財とそのマネジメントについて考察する。
知の社会と言われる現代は、次々に起こる新たな事象を解決するための新しい人財の出現が望まれている。一言で言えば、「知の社会の価値観に対応する人財」である。それは、多様な視点から顧客や社会のニーズに対応する新しい人財である。
図1にあるように、環境が変わったことで新しい経営の考え方・フレームワークが出現している。そこでの人財は「新しい顧客や社会に評価される」対象と考えて良いだろう。
価値創造のバリューチェーン
現在は、「ものづくりのプロセス」や「サービス提供プロセス」というよりも、社会・顧客から信頼を勝ち取る新しい考え方に基づく「価値創造のプロセス」が必要になっている。
言わば、図2、に示したように「社会・顧客の信頼を勝ち取る新しいバリューチェーンの概念」に整合した、価値創造のプロセスでなくてはならない。
概念図から分かるように、プロダクトアウト(企業から見た良い製品・商品を提供するという考え方)の視点が、顧客へ広がり、マーケットイン(顧客の望む製品・商品を提供すると言う考え方)の視点が重要となっている。そのためには、顧客だけではなく、良いものを作るために仕入れ先やビジネスパートナー等の利害関係者を巻き込んだ品質管理やコスト削減等のプロセスが要求される。更には、顧客価値創造以外に社会の信頼を得る社会価値創造プロセスが加わっている。人財の役割が広がったと言ってよいだろう。
ここでは、顧客価値創造に焦点を当てて解説する。
昨今、顧客満足経営(CS:Customer Satisfaction)を標榜する企業が多い。しかし、顧客満足は、日本国内に対象をしぼっても人の多様性故に、いろいろな視点から見なければその本質は見えてこない。さらに、時代が変わり、新たな満足の対象が出現している。
そこで、図3では、「1.環境の変化」と、「2.実践の変化」の二つの切り口から、「3.従来の考え方」と、「4.これからの考え方」について、比較検討等してみた。
特に、環境の変化は、
第2回で解説したように、経済的、社会的変動の他に、個性志向やサーファー型消費に象徴されるように複雑で多様である。
したがって、アジル経営と言われるように素早い対応が重要視されると同時に、自由で・柔軟な考え方が必須となる。
安定的環境から変化する環境に移ったと考えれば、競争が激化し、新しいサービスや経営全体の品質競争が要求されるようになるのは当然であろう。当然ながら、過去の経験が使えなくなって、現在の出来事をいかに捉えるかが重要になっており、さらに明日の動きを読むことが重要な成功要因となる。
あの世界のトヨタでさえ、「ものづくり」から「ひとづくり」に焦点を移しているように見える。トヨタの2010年のリコール問題は、顧客を満足させることに加えて社会を満足させることの重要性を再認識させてくれた。人財として、本当にリスクに挑戦し、例外も扱い、多様な個に合わすことができるだろうか?特に顧客の変化を適切に捉えなければ、企業にとっては死活問題になる。
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