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アップルの「iPad」やアマゾンの「Kindle」などの黒船の登場で、いよいよ本当に「元年」を迎えたことになりそうな電子書籍市場。
前々回 は端末、
前回 は電子書籍規格についてみてきた。また、本稿を公開直前の2月15日には「ePUB 3.0」のパブリック・ドラフトが公開され、いよいよ仕様策定の最終段階に入った。最終回となる今回はコンテンツ流通プラットフォームについてみていくとともに、今後の電子書籍の動向をさぐっていく。
活性化するコンテンツ流通プラットフォーム
これまで電子書籍の
端末 、
規格 についてみてきたが、混乱に拍車をかけているのが、コンテンツ流通プラットフォームの乱立とも言える状況だ。そもそも、日本の電子書籍の歴史は世界的に見ても古い。1992年に米ボイジャー社とのジョイント・ベンチャーとして設立されたボイジャー社はMac向けに電子書籍事業を開始し、現在は「.book」(ドットブック)フォーマットによる電子書籍の販売をメインに展開している。
また、1995年に富士通の社内ベンチャーから発足した「電子書店パピレス」や2000年12月に設立されたeBook Initiative Japan が運営する「eBook Japan」など、古くから電子書籍事業に携わってきた独立系企業のほか、2000年に大手出版社8社で設立した「電子文庫パプリ」など、長年、さまざまな事業者が電子書籍事業を展開してきた。
しかし、2003年7月に松下電器産業(現パナソニック)がリリースした「Σブック(シグマブック)」、2004年3月にソニーがリリースした「LIBRIe(リブリエ)」という電子書籍リーダーなどの電子書籍リーダーも市場に定着せず、電子書籍は長らく進展せぬまま沈滞化した状況を呈していた。
この状況に大きな刺激をもたらしたのが、アマゾンの「Kindle」の進展、および、アップルの「iPhone」、さらに「iPad」のリリースと「iBookstore」の開始である。
たとえば、2000年より「電子文庫パプリ」を運営する任意団体「電子文庫出版社会」は、この組織を母体として、2010年2月に新たに大手出版社が参加する一般社団法人「電子書籍出版社協会」を設立し、「電子文庫パプリ」の運営を引き継ぐとともに、組織を新たに仕切り直した。電子書籍の契約に関する研究を行う法務委員会、電子書籍のフォーマットに関する研究を行うフォーマット委員会、電子書籍端末に関する研究を行うビュアー委員会を設置し、今後の日本での電子書籍市場の拡大を推進していく考えだ。
ボイジャーやパピレスといった古参事業者も、相次いでiPhone、iPadへの対応を進め、専用アプリによる電子書籍の購入、ブラウズができるようにしている。また、ボイジャーでは電子書籍販売体制を強化し、複数の性格の異なる電子書店を「VOYAGER Store」に統合。従来の「理想書店」に加えて新たに「altbook」という書店を設置して、積極的な販売展開を図っている。
また、2010年12月に発売されたシャープの「GALAPAGOS」向けの専用ショップ「TSUTAYA GALAPAGOS」や、「SONY Reader」向けに設立された「Reader Store」(運営はソニー、凸版印刷、KDDI、朝日新聞社からなる「ブックリスタ」)など、新端末に向けたサービスも立ち上がった。2011年1月には、大日本印刷、NTTドコモ、CHIグループによる新たな電子書籍配信サービス「honto」をスタートした。
これらに加えて、電通とYAPPAによる、雑誌を中心とする配信サービス「マガストア」や、ソフトバンク系列のビューンが運営する雑誌や新聞などの配信サービス「ビューン」などを含めると、かなりの数の配信サービスが軒を並べており、既存の事業者に加えて新たなサービスが続々と登場している。
以下が主要な電子書籍配信サービス一覧だ。
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