- 2009/06/11 掲載
逆境をチャンスに変える!米倉誠一郎氏が語る中堅中小企業経営者への提言(後編)
「新しい資本主義」創造へ向けたヒントとは?
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そう考えると、自動車という成熟産業もまだまだ可能性のあるマーケットになります。日本の中小の自動車関連メーカーだって、国内の大手メーカーのピラミッドにしがみついてないで、こういうエリアに積極的に出ていく勇気があればいいんです。「我々ならもっと高燃費にしてみせる」、「もっとコストパフォーマンスに優れて乗り心地のいいものを作ってみせる」と。
大ヒット商品のiPodなんて日本にある技術でできるとみんな言いながら、なぜ日本からああいう商品が出てこなかったのか。メーカーがCDの生産設備とレコード会社という販売モデルをすでに持っており、ネットワーク経由のダウンロードという販売形態へのシフトに踏み切れなかったからです。大企業グループであるがゆえに、時代の変化に即応したビジネスモデルの変換が行えなかった例です。
こういった変化について、『イノベーションのジレンマ(Innovation’s Dilemma)』という本があります。著者であるクレイトン・クリステンセン氏にお会いした際、この本について、すばらしい本だが、大企業病という「不治の」病を直そうとしたことに疑問を投げかけました。この本は、むしろ中堅中小企業の経営者に読むべき本だと思います。
桎梏のない中堅中小企業こそ、身軽にどんどん新しい需要のニッチを探し出して、そこに向けてアイデアと技術を投入していくことができるはずです。でもそれには、昔のように大メーカーの下請として安穏に過ごすことは許されません。頭を使わない人、勉強しない会社は生きていけない世界だというのも、肝に銘じていかなくてはなりません。
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