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リーマンショックを発端とする世界的な景気低迷にも、ようやく出口が見えてきたと思ったら、今度はギリシャを震源とするユーロ不安が世界経済を揺さぶっている。いったい、いつまでこうした異常事態が続くのか。多くの企業経営者は不安を感じていることだろう。しかし、残念ながら、終わりはないと考えた方がよい。すでに、予測できない変化がおこり続ける時代=ニューノーマル時代が始まっているのである。ニューノーマル時代とは何か、そこで企業が生き残るすべは何なのか。日本オラクル 常務執行役員 保々雅世氏に話を聞いた。
予測できない変化がおこり続ける「ニューノーマル時代」が始まった
リーマンショック以降、経済は急激に冷え込んだ。とりわけ製造業における投資抑制傾向は強烈で、ITシステムの保守さえ削ろうかという厳しい状況だったという。ただし、すべての企業が同じかというと、けっしてそうではないと、保々氏は語る。
「マーケット全体が投資抑制に走ると、優秀なコンサルタントやエンジニアを確保しやすいため、こういうときこそ、優秀な人材を、うまく安く活用しようと考える企業も少なくありません。まわりを見て何かを決めるのではなく、自分達に必要だと判断すれば、必要な投資は惜しまないというお客様がいるのも、また事実なのです。そういうお客様が、マーケットでリーダーシップをとっていかれるのだと思います」
また、保々氏は、リーマンショック以降の企業を取り巻く環境について、「ニューノーマル」という概念を使って、次のように説明する。
「リーマンショックによる落ち込みから回復しても、再びもとの状態に戻るわけではありません。リーマンショックのような異常な事態が次々に起き続ける時代、"ニューノーマルな時代"がすでに始まっているのです」
現実に、リーマンショックが一段落しそうだと思ったらギリシャ問題が発生し、ユーロ不安が広がっている。もともと、リーマンショック前は円安が心配されていたにもかかわらず、ドルとユーロが弱くなった結果、円高が進行する事態となっている。さらに、最近は中国の人民元切り上げへの懸念も台頭している。
以上は通貨の話だが、同様の変化が、企業を取り巻くあらゆる環境で発生し続ける。つまり、予測できない変化がおこり続ける時代=ニューノーマル時代が始まったのである。
ニューノーマル時代に求められるのは「スピード」と「柔軟性」
では、ニューノーマル時代に、企業はどう対処すべきなのか。保々氏は「スピード」と「柔軟性」がキーワードだと指摘する。
「たとえば製造業であれば、資源をどこで入手するか? 部材の調達はどこか? 組み立てるのはどこか? ……等々は、環境によって変化する可能性があります。となると、重要なのは『スピード』と組み替え可能な『柔軟性』です。つねに、ある事業のある部分を、スピーディに移管できる状態にしておくことが重要です。たとえば、いままでAという国で作っていたユニットを来年からはBという国に移すとき、工場も含めた現在のインフラをスピーディに移管できることが、きわめて重要になるのです」
これは、大企業に限った話ではない。中小規模の企業であっても事情は同じだ。国内で作って国内で売るというビジネスモデルでないかぎり、「日本企業だから日本の事情に合っていればよい」という考え方は、企業規模とは無関係に、もはや通用しない時代なのである。
そうなると、ITインフラに関しても、どの国に持っていっても対応できるように準備しておくことが重要になる。オラクルの強みも、そこにあると保々氏は言う。
「オラクルの製品・ソリューションは、もともとグローバルを前提に多言語・他通貨で開発されていますから、どの国に持っていってもそのまま利用できます。また、どの国でもレベルの高いエンジニアが存在し、十分なサポートが受けられるのも、大きな強みなのです」
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