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もぐら叩きはもう終わり、DXレポート作成者和泉氏に聞く「日本企業はどこがダメ」?

2018年に経済産業省から「DXレポート」が公表され、日本の産業界にデジタル化の波が一気に訪れた。しかし企業におけるIT投資の機運こそ高まったが、「2025年の崖」を目前に控えた現在、当時のDXレポートが意図したIT・デジタル活用に対する企業の事業構造変革や、デジタル化に端を発する産業界全体の底上げまでに至ったとは十分に言えないのが実情だ。本稿では、当時経産省にてDXレポート作成に携わった和泉 憲明氏が企業のデジタル化を取り巻く現状を明らかにするとともに、企業が今後デジタル活用を通じて目指すべき姿を考える。

DXレポート発表以降、企業にIT・デジタル投資のマインドが定着

 2018年に発表されたDXレポートは多くの企業にインパクトを与えた。それから現在に至るまで、日本企業におけるIT・デジタル投資は確実に続いている。2008年に発生したリーマンショックの際は一気にIT投資が止まり、長きにわたり投資抑制傾向が続いたが、先般のコロナショック時ではIT・デジタル投資が停滞したのは一瞬であり、全体を通してみれば投資が抑えられる事態にはならなかった。

 その背景には、コロナ禍でリモートワークや社内・社外とのコミュニケーション、電子取引環境の整備が不可避となったこともあるが、何よりDXレポートが国内企業の置かれている現状を可視化したことによって、長らくIT活用に後ろ向きであったユーザー企業の経営層が危機感を自分事として認識し、DXと対峙することの必要性を理解した効果の可能性も考えられる。

 このように現在では、「DX投資を止めてはならない」という企業の戦略的な姿勢が垣間見える一方、DXの定義や解釈が曖昧であるという状況は依然として散見される。

「競争領域へ戦略的に投資できている企業と、何をして良いかわからず既存ITの保守運用に投資を続ける企業とに二分化されるようになっています」

 こう語るのは、当時経済産業省でDXレポートを執筆した、AIST Solutions Vice CTOの和泉 憲明氏である。

 DXの取り組みはなぜ難しいのか。日本企業の課題はどこにあるのか。企業を取り巻く構造的な問題点に関して、和泉氏はさらに考察を続ける。

この記事の続き >>

  • ・デジタルを活用しても「自社の強み」を伸ばせていない現状
    ・ユーザー企業とITベンダーの「会話が噛み合っていない」?
    ・広範囲での「企業間取引DX」が再び“勝者”になるためのカギ

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