- 2006/10/27 掲載
【ケーススタディ:サッポロビール『ヱビスビール』】ブランドはお客様への約束事である (2/2)
基盤となる「ブランド憲法」を制定
山根氏は、「ヱビスブランドの価値は、お客様にとってヱビスビールの持つ意味が明確であることと考えています。その意味に応えていくことがブランド力の維持を可能にするのです。そのためには、全社員がヱビスブランドとは何かという共通認識を常に持って活動することが重要です」と強調。ヱビスブランドの価値規定を明確にした「ブランド憲法」(ヱビスブランドブック)を制定し、ブランドマネジメントの基盤としているという。
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販売されているヱビスビールはこちら。このほかヱビス樽生10L、20L、 ヱビス<黒>樽生10Lのラインナップがある。現在のパッケージデザイン になったのは1991年から。 |
ヱビスブランドブックでは、ブランドは顧客に対する企業の約束であり、その約束を言葉と形の二つ の要素で規定した「ブランドプラットフォーム」(ブランドの提供価値)が中核となっている。「ヱビスビールが持つ事実・特徴、さらに機能的価値や情緒的価値、社会生活価値といった要素でブランドプラットフォームを明確に規定しています。それによって、お客様に本格的でしっかりとした味わいを提供するとともに、ゆったりとした感覚、満足感、ちょっと贅沢な気分といった情緒的な価値もお約束したい。さらには、至福の時間を過ごす喜びを感じていただけるような、ヱビスの世界観を約束していきたいのです」(山根氏)。
また、この本には、やらなければいけないこと、やってはいけないことなど具体的な活動内容も明記されている。例えば、「ブランド確立のためにはビール文化を作っていく」、「コアのお客様に対して約束を守りつつ時代にあわせてブラッシュアップしていく」、「マスの追及、短期的な利益追求、安易なプロモーションはしない」といったようなことだ。
「ブランドはお客様の中で出来上がっていくものであり、お客様との関係性、顧客接点の強化が重要なんです」(山根氏)。その一環として、より深いヱビスの世界観を体験できるWeb、「YEBISU BAR」も開設。プレミアム会員は10万人に達している。
ブランドの育成は植物を育てるようなもの。過度のキャンペーンなど肥料をやりすぎると枯れる。い ったん枯れた苗は再生しにくい─最後にブランドマネジメントを山根氏はこう比喩する。長期的なお 客との関係性を重視し、じっくり育てることが重要だと語った。
●会社概要 [名称] サッポロビール株式会社 [設立] 2003年7月1日 [資本金] 100億円 [従業員数] 2,264人 [事業内容]ビール・発泡酒・その他の酒類の製造・販売、輸入ビール・ワイン・洋酒の販売、他 |
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