- 2009/11/06 掲載
モバイル文化研究会 西岡郁夫氏ら「モバイル広告は5,000億円の眠れる市場」--市場活性化へ課題を提言(2/2)
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花王の石井氏は、広告を出す立場として、日本のインターネット人口が9,000万人ともわれ、そのうち携帯電話とPCの両方を使っている人が8,000万人いるともいわれている現状で、インターネット広告に7,000億円、モバイルインターネット広告に1,000億円に満たない金額しか使われていないというのは、西岡氏の発言にあるとおり、広告戦略を決定するための基本的なデータがないことが問題だとした。
花王では、古くからインターネットを使ったマーケティングや携帯電話を使ったプロモーションなども展開しているが、携帯インターネットの広告に予算を確保するためには、市場全体を見渡せるデータがほしいとした。
自社のサイトのPVは把握できるが、通信事業者ごとのトラフィックや、携帯電話全体でのアクセス情報など市場を包括するような基礎データが必要なのだが、最低限のデータがとれない状態だという。
全国の10万人の主婦のネットワーク組織を運営し、主にPCやメールをベースに、そこからの声を企業に届けたり、企業からの情報を提供したり、調査に協力したりしているキャリア・マム。会員の主婦に対して企業からの仕事の発注なども行っている。業務の中で、企業から30代主婦層にリーチしたいという協業案件も多く、ネットワーク拡大のため携帯電話ユーザーに注力し始めているという。
そのキャリア・マムを運営する堤氏は、ユーザーからの視点では、主婦層は意外と情報に敏感であるとし、それが有意なものであれば住所などの情報提供(開示)のハードルは低いのではないかと述べた。広告でも特売情報などが入手できるならDMなどへの拒否反応はそれほど高くないということだ。ただ、その反面、情報の扱われ方が不透明であり漠然とした不安もある。この不安を取り除くような情報、教育などが進めば、適正な視聴率データの開示が可能になるのではないかと述べた。
石井氏は法律家としての立場としても、個人情報の過剰反応だと指摘。個人情報保護法では、個人情報とは、生存する個人が特定できる情報と規定されている。しかし、一般的にユーザーなどが懸念している情報は、個人情報ではなくむしろ「プライバシー情報」だとした。これは、個人を特定する情報ではなく、個人が人に教えたくない情報である。この混同が業界やユーザーの過剰反応を招いているとした。また、米国や英国では、プライバシーの侵害に対して法的な救済措置はないとして、日本との法的な背景の違いを説明した。著作権においては米国のフェアユースの考え方が日本にも紹介されているが、個人情報についても、公共の福祉や合理的な理由があれば例外規定を設ける考え方も必要だろうと述べた。
個人情報保護法施行後に、数々の問題点や欠陥が指摘されており、改正の必要はありながら、現在は政局の変動、消費者庁の設置などとからんで改正議論が止まってしまっていることへの懸念も示した。
國領教授は総括として、今後の問題はさておき、とりあえずはデリケートな個人の詳細情報ではなく、匿名性もありアグリゲートされた情報だけでも使えるようになれば、企業のニーズや産業創出の機会になるのではないかと述べ、業界も広告を出したいだけでなく、ユーザーにとって使いやすく便利なものにしないと、モバイルインターネット広告も認知され、拡大していかないだろうとまとめた。
(取材・執筆:中尾真二)
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