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- 2010/02/17 掲載
【連載・全3回】なぜシステム導入プロジェクトの70%は遅延、予算オーバーとなるのか(3)
アリックスパートナーズ・アジア・エルエルシー 金澤明彦氏
システム・プロジェクトは失敗するように運命付けられている!?
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では失敗を運命付けられているシステム・プロジェクトをどうやったら成功に導くことができるのか、あるいは企業にとって致命傷にならない範囲の失敗に留めることができるのだろうか。
3つの解決法-【1】経営者による解決法
私自身の経験では3つのアプローチがあるように思う。1つは、経営者自身がシステム・プロジェクトに当たり、システム部門と当該(ユーザー)部門に具体的なコミットメントとその相互合意をさせるプロセスに直接関与するというものだ。もちろん、すべてのプロジェクトには関与できないので、金額やプロジェクトの性格(法令順守のための投資や更新投資は対象外とするなど)による関与基準を設ける必要はある。あるいは、たとえばクレジットカード会社における勘定系システムの更新など、明らかに事業のコアと思われる投資に絞ってこの直接関与を行うという方法もあろう。
ただ、そうは言っても経営者がこうした直接関与を常態化することの組織としての問題(すべてのことが経営者が直接関与しないと決まらなくなる!)、また上記の関与基準設定の現実的困難さを考えると、この“経営者直接関与”アプローチは大半の企業において非現実的かもしれない。
3つの解決法-【2】個人による解決法
代替アプローチとしては、個人による解決法と組織による解決法の2つがありうると思う。まず、個人による解決法とは、経営者の名代としてシステム部門と当該(ユーザー)部門への直接関与プロセスを取り仕切る人物を見つけることだ。肩書は何でも良い。経営企画部長がそれをできる人物ならその肩書のままやらせるという手もあるし、CIOがその任に耐えられる人物であれば、当該(ユーザー)部門も納得ずくで上記の直接関与プロセスを回せるかもしれない。あるいは、単発のプロジェクトであれば、全社横断的なプロジェクトチームを作り、そのプロジェクトリーダーにその人物を任命し、全権を委譲するというやり方もある。中小規模の会社ではこのやり方が最も柔軟かつ、効果的かもしれない。
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