- 2009/09/04 掲載
米シトリックス CEO マーク・テンプルトン氏「エンタープライズITのコンシューマ化が起きている」
現在、シトリックスが注力するのは「仮想化」市場。同社が2007年に買収したXenSourceは、ハイパーバイザ型の仮想化を実現するオープンソースソフトウェアとして数多くの製品に利用されている「Xen」の開発チームが設立、運営していた企業。そのため、Citrixは現在もXenコミュニティである「Xen.org」のボードメンバーなどを送り出し、主導的な役割を担っている。
テンプルトン氏は、先日Xen.orgが展開を開始した「Xen Cloud Project」を強調する。これまでXen Serverが担ってきた、社内システムなどの内部向けクラウド(インターナルクラウド)の役割とは対照的に、Xen Cloud Projectは、社外において提供されるクラウド(エクスターナルクラウド)の構築基盤を「初めてオープンソースで提供する」というもの。仮想化で先行するVMwareに対して、オープンソースで対抗する。テンプルトン氏は「オープンソースで提供することが、われわれの付加価値製品(商用製品)を提供することにつながる」と狙いを語る。
ただ、テンプルトン氏はVMwareを最大のライバルとはみていない。「最大のライバルは、現状のITシステムがオンデマンドではないこと。複雑さという問題を根本で対応しなければならない」と指摘する。この問題の本質を次のようにたとえる。
「自動車製造において、個々のパーツが99.9%の信頼性をもっていても、数十万におよぶパーツを使えば、信頼性は8割程度に下がってしまう。そのパーツの点数を減らすことができれば、信頼性は飛躍的に向上する。現在のITはこの“パーツ”が非常に多い。さらにパーツを減らせばコストも削減できる」
また、現状のエンタープライズコンピューティングが複雑な仕組みを採用している点を懸念。GoogleやAmazonのような企業が提供しているサービスの本質は「シンプルさ」にあると説いた。こうしたサービスは、特に説明できなくても理解できるもの。現在はビジネスユーザーにおいても同様の仕組みが求められているのだという。
「Power of simpler computing、現実はシンプルな製品であればあるほど、パワーがある。ユーザーが簡単に操作できれば、魔法のように生産性が上がる」「Power of 1、インフラを1度構築したら永遠にそれを使うということ。柔軟なプラットフォームを構築することで、データベースアプリケーションであれ、ネットワークコネクションであれ、それらを自由に配信できる」
こうした柔軟なITを実現するために、今後同社が注力していくという分野の1つが「Desktop Virtualization」だ。テンプルトン氏が定義するDesktop Virtualizationとは、次の3つの要素と各製品群で構成されるという。1つはアプリケーションのみを仮想的に配信する「XenApp」、さらにその下、デスクトップ環境をデータセンターなどからVDI(Virtual Desktop Infrastructure)として提供する「XenDesktop」、そしてクライアントにHypervisorごとまるまる配信する「XenClient」。これら3製品はそれぞれ利用用途が違っており、「セキュリティと柔軟性を実現するうえでこうした選択肢を用意することが重要」だと語った。
そのほか、テンプルトン氏は数年前と比較し、日本の大手企業が戦略的にITを活用しようという機運の高まりを感じると指摘。一部のレガシーベンダーにとっては脅威だが、日本のように1つのインフラを長く利用しようとする市場において、仮想化が与える影響は大きく、非常に大きなビジネス機会だとして、今後も投資を続けることを表明した。
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