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- 2009/02/05 掲載
第11回:「従来のQCDによるCSから新しいQCTによるSSの考え方」
連載『中堅・中小企業に必要な内部統制とは』 NPO法人内部統制評価機構 理事長 髙梨智弘氏
従来のQCDによるCSから新しいQCTによるSSの考え方
内部統制評価基準に従って、評価する対象業務は、基幹業務と支援業務である。本稿第4回、第5回で、業務のミスや不正を防ぎ、そして、業務の弱みを改善・改革するのが内部統制だと解説した。それは、内部統制評価基準を活用して、業務の有効性・効率性を図ることを意味している。では、何のために、どのように行うのか?基本的なプロセス図1を見てほしい。通常、プロセスは、時間軸にしたがって、左から右に業務が流れていく。基本的なステップは、SIPOC(サプライヤー → インプット → プロセス → アウトプット → カスタマー)である。「何のために」は、顧客“C”のために、商品・サービスの提供を行う。「どのように」は、サプライヤーから原材料やサービスの提供を受け、企業で加工などをし、販売活動“S→I→P→O”を行う。
つまり、業務の流れに即して、加工等の品質(Q)を向上させ、コスト(C)を下げて、納期(D)に合わせて顧客に届けるのが従来の考え方である。
図1:QCDによるCS |
1. 有効性・効率性はだれのため?
この、SIPOCの流れを効率的にしようと、QCDの最適化を行うために、このような考え方に沿って、業務の有効性・効率性のための内部統制を行うこと、いくつかの問題点が生じる。それは、SIPOCの流れが企業の都合による業務視点であり、顧客の本当のニーズに合わせた改善・改革の視点から内部統制が実行されていないからである。したがって、基準の実効性を考えると、評価基準は、連載第4回に説明したような専門用語(【1】統制環境、【2】リスクの評価と対応、【3】統制活動、【4】情報と伝達、【5】監視活動、【6】ITへの対応)を駆使した、どちらかというと性悪説的な、現実の業務に新たに負担を追加する「上からの統制」活動であってはならない。それは、業務そのものの流れに沿った本来の活動でカバーできる、言わば性善説的な考え方をベースに編成されたものであることが望ましい。
つまり、中堅・中小企業が受け入れやすいのは、本業を支援する形で導入することである。それも、社会に信頼されることが、企業の存続に大きく影響を与える今日は、内部統制の結果が会社経営に対する顧客の信頼を大幅に高め、業績に大きな影響を与えることになる。図2でわかるように、品質、コスト、納期(D)だけでなく、業務全体の流れを意味する時間軸の管理(T)も含めた利害関係者満足(SS)の最適化を目指すのがこれからの経営でなければならない。
図2:QCTによるSS |
中堅・中小企業向けの本内部統制評価基準は、いたずらに詳細なチェックを要求することなく、最低限の統制を考慮した上で、内部統制の4つの目的のうちの「業務の有効性と効率性」に焦点をあてて、導入しやすい形で作成してある。
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