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- 2008/07/10 掲載
【連載】社内で導入するための実践「1枚企画書」講座(10)グラフの選択法と効果的なレイアウト
執筆:竹島 愼一郎 |
前回、グラフの見せ方と強調の仕方について説明しました。今回は、いまあなたが取り組んでいる企画にはどのようなグラフを選べばいいかについてお話ししましょう。
前回、「1枚企画書」では「2つのグラフを比較したり、1つのグラフの特徴的な部分を取り上げ、別のグラフで説明したりすることができる」と説明しましたが、3つあるいは場合によっては4つのグラフを1枚の企画書のなかに盛り込むことももちろん可能です。
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図1:左側に1つ、右側に2つのグラフを整理して入れた例
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まず左側ですが、これは横棒グラフと呼ばれるものです。同じような表現方法に棒(バー)が縦に立った状態で入る縦棒グラフというものもありますが、どうしてここでは左右の幅いっぱいを使って縦棒グラフにしなかったのでしょうか。
それには2つの理由があります。一つ目は、縦棒グラフが左から右への推移を表すことに向いているのに対し、ここでは上位下位の比較に重点を置いた点、二つ目は縦棒グラフの下に入る項目というのは年度などの単純な記述を入れるのには向いているのですが、このようにアンケートの質問項目のような意味内容のある記述には不似合いであるという点を考慮して、横棒グラフを採用したのです。
ここには出てきませんが、折れ線グラフ(前回の図3を参照)は縦棒グラフより推移を強調するときに用いられ、通常、他のデータとの比較をする傾向が強いといえます。それに対して縦棒グラフでは比較を行わないケースも多々見られます(売上高の推移など)。
折れ線グラフと比べた縦棒グラフの顕著な特徴は、それがボリュームを強調した表現だという点にあります。そのボリューム感をより強調した例が、図1の右側上の円錐3-D縦棒グラフです。これはボリューム感を強調したいがために採用したものですが、双方の差に注目がいくよう背面のデータが前面のデータに隠れないような表し方をしたいとの配慮からでもあります。
右側下のグラフも横棒グラフですが、ここではアンケートの各項目について、年代別の回答数をそれぞれ比較したいので積み上げ横棒グラフを採用しました。一口に横棒グラフといっても見せる目的によって異なる表現方法があるということを認識しておいてください。
このようにグラフでは、それが「推移」「比較」「ボリューム」のいずれを強調して見せたいのかを考慮して、もっともふさわしいものを選択するというのが秘訣です。
ただ注意しておきたいのは推移、比較、ボリュームの3つは、上記で見たようにいずれか1つの基準によって選択するというより、多くの場合、2つあるいは3つの基準を複合的に考え合わせたうえで1つのグラフを選定します。
またこの例のように、「1枚企画書」で複数のグラフを盛り込む場合、できるだけ異なる観点から分析したことを示すため、基準の異なるグラフを選ぶようにするといいでしょう。つまり、違う種類のグラフがあったほうが、多角的な視点で考察されているという印象を与えるのです。印象というのは意外と重要なものです。
企画書のグラフで多いのは、競合他社と比較して、商品購買力やブランド力など現状での優劣の動向を探るというものです。ここから、商品に必要な差別化を十分に検証して、企画開発に活かすというのが企画書によく見られるパターンです。
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図2:関連性ある3つのデータをグラフの形で入れた例
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さてグラフの種類ですが、下段の左側から見ていくと、これは円グラフと呼ばれるもので、全体に占める数社のシェアの比較を行っています。360度の円を100%と見立てているので、比較した対象のボリューム感もわかりやすくなっています。円グラフの右側に四角形の縦棒グラフが飛び出すような工夫がなされていますが、これは左側の円の約4分の1のなかでの比率を表しています。つまりこのグラフは、海外ブランドの比率がおよそ4分の3を占め、あとの4分の1を国内メーカーが奪い合っている情況を表そうとしたものなのです(加えて、「当社」は多数のうちの1つにすぎないという現状を赤い矢印によって強調してあります)。
下段の右側はレーダーチャート(レーダーグラフ)と呼ばれるものです。これはいくつかの項目を立てて数社の商品の性能やブランド力などの比較を行うもので、推移でもボリュームでもなく、比較に特化したグラフです。
右側の上はポジショニングマップと呼ばれるもので、グラフとはすこし異なるように見えますが、その一種と捉えることができます。2つの基軸を設け、その高低や優劣によって、4つに分割された平面上に現在の位置取りを表示したもので、とくにマーケティングリサーチの報告書では頻繁に用いられます。
ここではハンドバッグの調査なので、基本図形を用いてハンドバッグのイラストを描き、それぞれのポジションに配置してあります。こうした見せ方も一目で意味内容が把握できる有効な手段なので、機会があったら使ってみるといいでしょう。
レイアウトに関していうと、「1枚企画書」に複数のグラフを入れ込む場合、画面を4つに分割して完成イメージを考えるというのが秘訣です。図1、図2とも4分割した画面に3つのグラフをレイアウトしてあります。それを説明する順番に見てもらえるよう、矢印によるフローで視線の流れ=導線を作ってあるので、内容がどう展開するかが自然に目に飛び込んでくるようになっています。
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