- 2007/11/13 掲載
ボーン・グローバル:フィンランドからグローバル・ベンチャー企業をつくる人々のビジネス+IT戦略(4)
なお、レイキ社を含めて、前回からご紹介しているボーン・グローバル企業は、2007年6月にフィンランドを訪問し、この連載のためにインタビューを実施した企業である。
コンテンツプロバイダの売り上げ増大を支える
レイキ社のテクノロジ
レイキ社が入居するヘルシンキ市内のビル
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このソフトウェアは、オンラインメディア運営するコンテンツプロバイダにとって、どのような利点があるだろうか?
結論から言えば、ユーザー数や、ページビューの増大を達成でき、より多くの広告収入を得ることができるということである。では、これはどのように実現されていくのだろうか。
まずはじめに、1ユーザー当たりのページビューが伸びるということだ。たとえば、ユーザーがサイトを訪れた際に関連するコンテンツも一緒にレコメンド(=お勧め)されて表示されることになれば、そのコンテンツを一緒に閲覧しようという行動が起きやすくなる。
また、ユーザーがサイトに何度も訪れたなら、その行動をもとにユーザーの興味が高いコンテンツを表示することもできる。このような行動を通じてユーザーのサイトへのロイヤリティ(つまり、サイト訪問頻度)を高めることができ、さらなるページビューの増大が期待できる。また、このような的確なコンテンツを表示するサイトは、利用者から他の利用者に推奨されること(口コミ)も期待できるため、新規ユーザーの獲得にも繋がるだろう。
このようなコンセプトはだれにでも思い浮かぶかもしれない。しかし、レイキ社のコンテンツレコメンデーションエンジンのユニークな点は、今、さまざまな用途で注目されているオントロジー(ontology)という概念をコンテンツの解釈に導入していることだ。
このオントロジーは、もともと「存在論」を示す哲学用語であったが、近年ではコンピューター用語としても使われている。オントロジーを簡単に解説すると、ある知識領域における概念の集まりと、その概念同士の関係を表すものと説明できる。
オントロジーの詳しい解説は専門書に譲るとして、なぜオントロジーが注目されているかを一言で表すならば、オントロジーはコンテンツがもつ意味とユーザーの意図をうまく繋げることができるからである。
たとえば、検索エンジンなどでは、ユーザーが入力した “キーワード”に関連性の高いコンテンツを表示する。そのため、ユーザーは自分の探したい“概念”をうまく“キーワード”として表す必要があり、このテクニックの差や慣れによって得られる検索精度が異なる。しかし、オントロジーが整備されれば、概念、言いかえれば、文書の意味が重視され、よりユーザーの意図に近いコンテンツが検索でき、検索精度を上げることができるといわれている。
レイキ社は、コンテンツのプロファイル、ユーザーのプロファイル、ユーザー行動、オントロジーなどを組み合わせて、最適なコンテンツを推奨するソフトウェアの開発に成功した。「オントロジーに注目したことで、レイキのレコメンデーションエンジンは、ユニークなポジションを獲得できた」と、レイキ社のプロダクトマネジャー、パヌ・ピトカニネン氏は語る。
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