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- 2024/11/04 掲載
ついに契約件数「大台突破」の楽天モバイル、それでも黒字化を阻む「ある数字」とは
連載:大関暁夫のビジネス甘辛時評
楽天モバイル契約者「爆増」の背景とは
グループ決算の足を引っ張ってきたモバイル事業での巨額赤字が止血に向かったことに市場も好感し、過去に500円台前半にまで下落した株価が一時1,000円を超えるなど、楽天回復ムードが漂いました。
そんな楽天モバイルの行き先はどこに向かうのか、今回は気になるポイントを整理します。
まず、楽天モバイルにおける契約回線の遷移から見ていきましょう。楽天の2024年度第2四半期の決算発表によると、2023年12月末時点で596万回線(BCP回線除く)であったものが726万回線(同、8月7日時点)に急増しています。つまり、7カ月間で実に130万回線も増加した計算になるのです。
これにはソフトバンクの宮川潤一郎社長が今年8月の同社決算会見で「どこからその純増が湧いてでているのか」と同業他社からも驚きの声が出るほどです。要するに、日本国内の携帯回線契約が飽和状態にある中で、何か「裏」でもあるのではないかとさえ思われるほど急激な伸びを示しているのです。
この契約件数の急増について三木谷社長は、決算会見で、「プラチナバンドスタートによる、通信の質の改善」「安価なワンプランによる、分かりやすい低価格」「ポイント還元などによる、エコシステムの誘引力」を挙げていましたが、本当にその理由が主なものであるのかというと、やや疑問に感じるところではあります。
確かに、2023年12月期以降におけるBtoCの他社からの乗り換え契約(MNP)の純増は29.9万回線あるので、この部分については三木谷社長が指摘するような理由はあるのかもしれません。
しかし、このMNP純増29.9万回線と先の回線増加全体数と間には約100万回線もの乖離があるわけで、この乖離部分が何であるのか気になるところです。
三木谷氏が果たす「さすが」の役割
他社からの乗り換え以外に新規契約の増加要因として考えられるとすれば、それは法人契約と複数回線契約も含めた純粋な個人の新規契約でしょう。楽天モバイルは法人取引に関して、2023年1月から法人向けプランをスタートさせて法人営業を本格化させています。
楽天グループは複数事業数多くの法人取引を抱えており、その数は90万社にのぼります。これだけ取引先があれば、楽天が提案する“お得なプラン”を聞いてくれる先はかなりの数あると考えられるわけで、楽天創業期に自ら「どぶ板営業」で出店企業をかき集めたという三木谷社長が、そこを見逃すとは思えません。
実際に三木谷氏は、楽天モバイルの法人営業に関して、自ら積極的にリーダーシップを取っているとされており、楽天は携帯契約における個人、法人の内訳比率は公表していませんが、三木谷社長旗振りの下で法人取引の大幅な積み上げが進んだということは想像に難くないでしょう。 【次ページ】自らも参戦「三木谷キャンペーン」の威力とは
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