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  • 2007/07/11 掲載

【医療業界】進まないIT化とマイクロソフトの本格参入~国際モダンホスピタルショウ2007レポート~

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7月11日から13日にかけて、国際モダンホスピタルショウが行われている。開催に先駆けてマイクロソフトは記者発表会を開き、本格的にヘルスケア分野に進出していく意向を発表した。ここでは発表の内容と同イベントのフォトレポートをご紹介する。


マイクロソフトが医療現場におけるIT利活用プログラムを開始


マイクロソフト 執行役 常務
公共インダストリー統括本部長
大井川和彦氏

メディヴァ 代表取締役
大石 佳能子

国立成育医療センター
医療情報室長
CHART 座長
山野辺祐二氏
 まずはマイクロソフトの発表から。同社は11日、医療現場におけるIT利活用の推進を目指した「Connected Health Platform構想(以下、CHP)」を日本で新たに開始すると発表した。数年前より医療分野に対する活動も行っていたが、今回本格的な参入を表明した形となる。

 マイクロソフト 執行役 常務 公共インダストリー統括本部長 大井川和彦氏は、「(CHP構想に基づいて)SOAを使うなどして医療の質向上とコスト削減と医療費負担の軽減を目指す」とした。

 同席した、医療コンサルティング会社メディヴァ 代表取締役 大石佳能子氏は、医療業界における問題について、「(医療現場は)10年から15年ぐらいITが遅れている(メディヴァ )」し、「オフコン時代のものがそのまま残っていて」「インターフェイスも非常にわかりづらい」「経営上の情報としての利活用するにはお金がかかる」と課題を語った。同社が手がけて新しく開業するクリニックはほぼ100%電子カルテを導入しており、「きちんとIT化ができれば、医師と看護師の2人だけでもクリニックを開業できる」のだという。

 このような課題に対して、CHPは、医療現場における(1)複数業務アプリケーションの連携、(2)セキュアな統一認証基盤によるシステム運用、(3)複数システムでの情報共有のための基盤統合、(4)システムを利用する医師などに統一のインターフェイスなどを提供する。

 この構想では、現場で利用されるソフトウェアは、ExcelやAccessやInfoPathといった「使い慣れたソフトウェア(大井川氏)」で、それをユーザーの手で自由に使いやすく利用できる環境を作り、「これまで少しの変更にも数百万していたケースもあったがこれをなくす」とした。そのほかの具体的な製品としては、ActiveDirectoryで認証基盤を構築、バラバラのシステム、たとえばオフコンなどからcsvなどをはき出したものを統合するにはBizTalkを通してSQL Serverなどとのデータ連携を行うのだという。

 また、新たに医師や看護師、IT管理者などで組織化された医療情報化推進協議会「Connected Healthcare A*Round Table(CHART)」を設立。同協議会では、病院経営者、IT管理者、医師など3つのカテゴリに分けて、医療現場のIT利活用の啓発を目指した「IT体験プログラム」を全国で展開する。加えて、診療所や歯科クリニックといった小規模な医療機関については全国200箇所でIT活用のメリットと実践的な活用方法について提示する「IT実践キャラバン」を行う。

 CHARTの具体的な活動としては、定期会合、事例研究会やセミナーの開催、学会などでの講演、医療ITに関する情報提供などを行う。CHARTの座長に就任した国立成育医療センター 山野辺祐二氏は「(医療機関も細々としたサービスは使っているが)IT化の指針が見えない」として、マイクロソフトとの協業により、医療分野のIT化を促進していく。

 マイクロソフトは医療分野への取り組みについて、「(米国本国も)ここ2~3年で急速に体制を整えてきている(大井川氏)」状況で、健康管理検索のベンチャー「Medstory」や、今年の7月には健康管理ソフト開発の「Azyxxi」を買収するなど積極的に活動を開始している。

 3年前からバーチャルに「細々と」チームを確立していたが、「『(米国CEOスティーブバルマー氏)によると)医療というのは情報産業そのもの、どんどん投資していく』といっているような状況。(買収した)医療専門ソフトウェアの提供も(日本で)行っていく可能性はある(大井川氏)」として、日本でも本格的に医療分野での取り組みを行うという。また現在、すでに熊本の済生会病院でCHPの導入が進んでいるのだそうだ。

 なお、日経新聞の報道について大井川氏は、「導入の結果、いきなりコストが5割削減されることはない」「5年ぐらいかけてTCOの5割削減になるような状況を目指す」として一部報道内容を否定した。
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