- 2007/02/09 掲載
【ITキーパーソンインタビュー(3)】他社から学び、自分たちを変えていける企業が成功する--SAP 神戸氏
SAPジャパン バイスプレジデント 営業統括本部 地域営業本部 神戸利文氏インタビュー
おかげさまで、2006年は2005年に比べて大きく成長できた年でした。2004年、2005年と投資を控えて乗り切ってきた企業の多くに、余裕ができたことも大きな要因だと思いますが、ようやくSAPも中堅中小企業の皆さまにお手伝いできることがあると知ってもらえるようになったことも大きいですね。これは、パートナーさんの協力があってこそ実現できたことです。
業種という切り口で振り返れば、市場ポテンシャルの高いハイテク産業や自動車産業などの企業には、引き続き多く導入していただいています。最近では小売や流通といった業種の企業に導入される例が増えており、新たなトレンドとして注目しています。また、業種を問わずお客様の企業規模が多彩になっており、大手企業以外のお客様にもお届けできるようになったという印象が強いですね。
―─中堅中小企業が情報化投資を行う場合、どのようなアプローチが必要だと思いますか。
中堅・中小のお客様は、2004年、2005年とIT投資を抑えてきた傾向にありました。しかし、システムの老朽化がはじまっていたり、経営を支援する仕組みを取り入れていく必要性、特に経営を「見たい」という声が高まっているのを感じています。
これまでの情報化投資では、現場を支援することが最優先とされてきました。しかし最近では、企業の「ヒト、モノ、カネの流れ」をタイムリーに情報管理して、次の経営戦略に生かすことが求められています。
そうした視点で情報化投資を行う場合、現場支援だけではなく、経営者のためになっているかどうかを考えなくてはいけないでしょう。また、日本の企業には「うちはうち、よそはよそ」と、何でも自社独自のやり方を見出そうとする傾向があります。
確かに、製品開発に強みがある企業は製品開発のプロセスを変えるべきではないし、生産に強みがある会社は生産プロセスを変えるべきではないでしょう。しかしビジネスプロセスには、他社並みであればいい部分もあるはずです。たとえば、会計や経理などの業務はどの企業がやってもほとんど同じプロセスになるでしょう。そういった部分については、他社がやってきたものの中からベストだったものを借りてくればいいと思います。
他社が使っているものを借りてくれば手軽なだけでなく、そこには“他社の経験”が詰まっています。SAPのソリューションに詰め込まれた“他社の経験”を生かせば業務効率を簡単に向上できます。これは、SAPの基本概念でもありますが、2006年くらいから、ようやく中堅中小企業の方にご理解頂けるようになりました。
さらに業務アプリをすべて独自で開発していては、コスト効率もよくなりません。SAPのソリューションに蓄積されている“他社の経験”を生かし、そこでできる投資の余力を、自社独自でなければならない部分につぎ込むことができれば、その独自性をより大きな強みにできるでしょう。
─―それでは、それを実現するSAPの具体的なソリューションとその特徴を教えて下さい。
中心となる製品が2つあります。1つは「mySAP ERP 2005」というERP[*1]製品で、ERPに求められる機能をすべて実現できると言ってもいい製品です。大手企業から中堅企業を中心に使われており、日本国内でも既に多くの企業で導入されています。
そしてもう1つが、「SAP Business One」。こちらはWebベースでWindowsが稼働するよう作られています。コンセプトは同じですが、実現方法がまったく異なる製品と言えます。SAP Business Oneは、トランザクションや従業員がそれほど多くない企業に適しています。また実際の稼働までに必要な時間やコストにも違いがあり、大体2~3か月で稼働できます。
さらに、mySAP ERPにパートナーが持つサービスやインプリメンテーション、ハードウェアなどを合わせて販売するmySAP All-in-Oneというソリューションがあります。実態としては、中堅企業に提案されるmySAP ERPのほとんどがmySAP All-in-Oneという形です。
[*1]ERPとは
Enterprise Resource Planningの略。経営資源(ヒト・モノ・カネ)を最適に配置し、継続的に改善しながら事業を行う業務プロセスの最適化の仕組み。ERPはあくまでも経営資源の最適化を推進する概念であり、ERPを実現するためのソフトウェアは「ERPパッケージ」と呼ばれる。またERPパッケージは、財務会計、販売管理、在庫管理、生産管理、人事給与といった、企業の基幹業務を支援する情報システムを統合する「統合業務パッケージ」とも言える。
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