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- 2023/12/23 掲載
なぜiPhoneのストレージは何種類もある? 裏にある“用意周到すぎる”戦略とは
「多すぎて選べない」現象の名前とは
人間は多くの選択肢があることを好みますが、多すぎると決められません。実に矛盾しているようですが、これが非合理である人間のあるがままの姿です。選択肢が多すぎたり、よくわからない商品を選択したりする際には「選択麻痺(Choice Paralysis)」になってしまいます。選択を後回しにしたり、または「選ばない」ことにつながることが多く、「選びたいのに選べない」という結果になってしまうのです。
どのように選択肢を提示したら、相手に選んでもらえるのか。そこで「選択アーキテクチャー(Choice Architecture)」という考えが生まれました。「アーキテクチャー」とは「設計」の意味。選択アーキテクチャーとは、選択肢をどのように設計したらいいか、最適な方法を探る概念です。
ネトフリで次の回が「自動再生」される狙い
世界の企業は実際にさまざまな選択アーキテクチャーを駆使しています。アマゾンはユーザーのデータを蓄積し、アルゴリズムを使って「おすすめ商品」を出しています。「価格順、新しい順、人気順」などのフィルターを採用し、消費者が選びやすくしているのも「選択アーキテクチャー」です。
ほかにも、TikTokは「最初から選択されている」という方法を採用しています。実際にTikTokを使うと、アプリを開いた瞬間に、何も選ばなくてもすぐに動画が流れてきます。あれだけ莫大な量の動画があっては、自分ではどの動画を見ればいいかわからず、ユーザーは選べなくなってしまいます。そこで、最初からそのユーザーが興味のありそうな動画を自動で流してしまうのです。そうすることで、ユーザーは選ぶ必要がなくなります。
さらに、自動で動画を流すことで、「現状維持効果」も働き、その結果、ユーザーは時間を溶かすようにTikTokを見続けるというわけです。これがTikTok流の選択アーキテクチャーです。
また、ネットフリックスも同様です。アプリを開くと、必ずおすすめのドラマのワンシーンが自動で流れてきます。やはりユーザーが選択オーバーロードに陥らないようにするための工夫です。
またほかの動画アプリ同様、ネットフリックスは過去に視聴したデータを基に「このユーザーはこんな属性でこういうものを好む」と判断して選択アーキテクチャーを作っています。 【次ページ】iPhoneのストレージが何種類もあるワケ
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