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  • 2005/12/06 掲載

不確実性時代の情報戦略を考える

ボストン コンサルティング グループ 井上潤吾氏

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情報システムについて、経営者の方々からよく聞く言葉は「情報システムはどうもよくわからない。投資しなければ、現在のビジネスが成り立たなくなったり、必要な情報が入手できずに経営の意思決定が遅れたりしそうで怖いし、かといって投資した分だけリターンがあるようにも思えない」「情報システム子会社や本社システム部門の部員の将来を考えると頭が痛い。一方で情報システムを経営に生かせれば、わが社の競争力も格段に上がりそうなのだが、情報システムベンダーの勧めるとおりに投資していると、費用対効果が低いように感じる」といったものだ。要するに、期待と不満が入り混じっている状態であるようだ。その期待と不満は、今後、不確実性時代に入るとますます増大する。経営トップにとって、不確実性時代の情報戦略は、重要なアジェンダの一つである。


ボストンコンサルティンググループ
ヴァイス・プレジデント
井上潤吾
【プロフィール】



不確実性時代の情報戦略は経営トップアジェンダ

 情報システムについて、経営者の方々からよく聞く言葉は「情報システムはどうもよくわからない。投資しなければ、現在のビジネスが成り立たなくなったり、必要な情報が入手できずに経営の意思決定が遅れたりしそうで怖いし、かといって投資した分だけリターンがあるようにも思えない」「情報システム子会社や本社システム部門の部員の将来を考えると頭が痛い。一方で情報システムを経営に生かせれば、わが社の競争力も格段に上がりそうなのだが、情報システムベンダーの勧めるとおりに投資していると、費用対効果が低いように感じる」といったものだ。要するに、期待と不満が入り混じっている状態であるようだ。その期待と不満は、今後、不確実性時代に入るとますます増大する。経営トップにとって、不確実性時代の情報戦略は、重要なアジェンダの一つである。


既存の情報システムに対する不確実性とは

●不確実性の要因~内因性ドライバ~

 内因性ドライバには、技術進化、セキュリティ、システム部員のノウハウ継承の問題などが考えられる。技術進化とは、言うまでもなく、新しい技術によって現在のシステムが陳腐化したり、コスト高になったりすることだ。技術進化は漸次的に起きる進化と量子的に起きる両面がある。漸次進化は予測しやすいが、量子的進化はある時突然生じるものであるため、専門家でも予測しにくい。
 セキュリティは、パソコンやインターネットの普及によって、国民一人ひとりがさまざまな情報にアクセスできるようになった結果生じた負の面だ。個々人のプライベート情報の流出や改竄、決済情報の盗聴や企業の顧客情報の流出など最近多くの問題が紙・誌上を賑わせている。情報へのアクセスが容易になったことに加えて、送出する手間も極度に減ったため、情報セキュリティは今後も一層低下するだろう。
 またシステム部員のノウハウ継承とは、2007年問題に起因する。これは、メインフレームのノウハウを持った団塊の世代のシステム要員が2007年に一斉に定年を迎えるため、メインフレームを中心としたシステムの構築・保守・運用スキルがユーザ企業内で著しく低下する危険があると指摘されている問題である。加えて、人材の流動化が進む企業内のシステム部門で、どうやって既存システムの技術ノウハウや業務ノウハウを若手に継承していくか、という危惧もある。これまでは、比較的寿命の長いシステムをいくつかの世代にわたって運用してきたため、若手がシステムや業務プロセスについて学ぶ機会も多かったが、現在のようにオープン系のシステムに順次移行されてくるとシステム寿命が短期化し、OJTによるノウハウ継承の機会が減ってくる。さらに、今後人材の流動化により、システム要員の社外流出も進むため、ノウハウ継承がうまくできず、基幹システムの安定運用ができなくなる恐れが出てきたのだ。


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