- 2005/11/25 掲載
【企業経営で着目したい4つの時代】マーケティング・アンビションの時代(4/4)
コアコンピタンスに裏付けられた
オリジナリティを具現化できるか
――アンビションを支えるものが、コアコンピタンスなのでしょうか嶋口 表裏の関係と言っていいでしょうね。ただ、コアコンピタンスとは何か、と考えたときに「企業を分解していくと、凝縮された何らかの強さに行き着くものだ」と考えると間違ってしまうと思います。
すぐに分かってしまうようなものであれば、それは本当の強さではないわけです。本当のコアコンピタンスというものは、凝縮されたものではなく、DNAであったり、カルチャーであったり、そうした企業全体を覆うものなのだと思います。企業丸ごとの強さなわけです。
私はよく玉ねぎを引き合いに出しますが、つまり、むいていくと、後には何も残らない。外部からは、いくらその企業を研究しても、真似することができない強さがある。だからこそ、アンビションはそこを拠り所に生まれるものであるべきなのです。
――だからこそ、アンビションは一般名称や借りてきたような言葉で表せるものであってはいけない? それを聞いただけでどの企業か想像がつくような、“らしさ”が必要なわけですね
嶋口 そうでなければ、戦略性がないですからね。ただ、たとえば「総合生活産業」とか、「ソリューションビジネス」のような理念は、リーディングカンパニーならばアンビションと言ってもいいわけです。あるいは、最初にそれを言い出すのであれば、十分にアンビションといえる。しかし、二番手も三番手も、同じことを言っていたのでは、永遠に勝てないと思います。
――IBMの『ON DEMAND BUSINESS』などもそうですね。あるいは、サン・マイクロシステムズは、サーバの会社でもJavaの会社でもない。ネットワーク・コンピューティングの会社だと言い続けていました
嶋口 そういうことだと思います。リーディングカンパニーであれば、業界全体のニーズを反映させた理念でもいいわけです。それが逆に、リーディングカンパニーのアンビションが外からはわかりにくい、という理由の一つかもしれないですね。二番手以降、あるいは新たな挑戦者は、もっと差別化された自分たちだけのアンビションを掲げる必要がある。
ただ、注意を要するのは、アンビションに代表される十分条件だけではだめで、先述した必要条件が前提になります。それがないと、いつの間にかその企業は消えてしまう。現在の自分たちの経営資源を超えた夢を持つことは大事なのですが、現実とのギャップがありすぎてもうまくいかないと思います。
<聞き手:赤城 稔>
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