- 2005/11/25 掲載
【企業経営で着目したい4つの時代】マーケティング・アンビションの時代(2/4)
嶋口 私も、いくつかの企業の社外取締役を仰せつかっているのですが、世間でいうところの敵対的買収が起こったときに、それが株主にとってどのような意味がある買収なのかを推し量るのは非常に難しい。それこそビジョンやアンビションが重要になるわけです。企業防衛策がいろいろと取りざたされていますが、私はその一つとして、定款の中に、自分たちのアンビションを明記しておこうということを主張しています。そのアンビションに株主は賛同するかどうかが、まず問われる。賛同することを前提とすれば、敵対的買収者が表れたときに、それこそ質問状や公開討論で、「あなたたちは、このアンビションを達成できますか?」と問うことができる。それが「顧客第一主義」では意味がないし、具体的に過ぎる(堅い)戦略では、時代の流れにそれが合っているかといった論議になってしまう。アンビションとは、その企業ならではの精神的な出発点であり、理想とするゴールイメージであるべきなのです。
――そうしたアンビションを掲げられない経営者であるとすれば、それこそ問題になりますね
嶋口 たとえば、ただ放送事業を行うというのではなく、そうした事業を通じて、どういう夢を描き、どのような思いを満たしたいと考えるのか。これはそもそも、企業経営にとっても重要なことです。ただ「車を作って、社会貢献をする」だけでは、それこそアイデンティティがない。どんな経営者であっても、資本家であってもいいことになってしまいます。そうした意味では、今まで規制に守られて安穏と経営をしてきた企業が多いといわれても仕方がないかもしれないですね。
敵対的買収が起こった時にもまず、企業のアンビションを考える。そのアンビションをどちらがよりよく達成できるか、あるいはどちらがより素晴らしいアンビションを示すことができるか、そういう戦いにすべきなのではないかと思います。
――そうした魅力的なゴールイメージや夢を明示するのは、それこそ経営者の仕事だと思いますが、それをわかりやすい言葉にするための工夫も必要になりますね
嶋口 そうですね。最近、広告文の制作者、いわゆるコピーライターの力というものが思っていた以上に重要だと考えるようになりました。簡単なキーワードでもって、社外にはファンを増やし、社内の組織も動かすことができる。そうした作業が求められるわけです。従来、プロダクトのブランドイメージにおいて、そうした力が活用されてきたわけですが、今後は、コーポレートブランドにおいても、今まで以上に必要とされるのだと思います。
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