- 2025/04/03 掲載
アングル:トランプ波乱の中で「光明」か、三菱商の還元がつなぐ市場の期待
[東京 3日 ロイター] - 日本株の下げがきつい。米国による相互関税が想定以上に厳しい内容になったことから、当面は不安定な値動きが継続するとの見方が多い。日経平均は節目の水準を次々と割り込み、海外投機筋の売りの標的になりやすくなっている、との声も出ている。
一方、地合いが悪い中で還元策を発表し市場に評価された三菱商事の値動きに「光明」を見いだそうとする市場関係者もいる。
トランプ米大統領の相互関税の直撃を受けた東京市場では、日経平均が一時1600円安に下落した。この1週間強で4000円の下げだ。その後は、事前に織り込みが進んでいたとして下値では値ごろ感からの買いも意識され、1000円安程度に下げ幅を縮小して取引を終えた。
嵐が過ぎ去ったわけではない。報復合戦に発展するリスクがあり「米国が関税を引き上げたら終わり、となるかどうかわからないという恐怖が投資家の間にはある」と、JPモルガン証券の高田将成クオンツストラテジストは話す。
需給面の支えも4月は乏しそうだ。日本株は4月に自社株買いの実施額が減ることで知られている。
自社株買いを映す事業法人の買いが24年は日本株最大の買い主体だった一方、4月は過去5年の平均で実施金額が最も少ない。「3月末に自社株買いの期間が終了する企業が多いため」(東海東京インテリジェンス・ラボの仙石誠シニアエクイティマーケットアナリスト)とみられており、最も多い月と比較すると半分以下になるという。
JPモルガンの高田氏の試算によると、東証改革を追い風に株高となった2023年から日本株を買ってきた短期筋の損益分岐点は3万5600円だという。「これを割り込んでいることで、下攻めしたい海外短期筋もいる」という。
<株主還元の動きには好反応>
波乱相場の中で「光明」と捉えられたのが、三菱商事の値動きだ。午後に最大1兆円の自社株買いと増配を発表すると、前場のマイナス圏からプラスに転じ、一時3.6%高の2711円に上昇した。
「地合いが悪い中でも、株主還元策が評価されることが示された」とフィリップ証券の増沢丈彦・株式部トレーディング・ヘッドは指摘する。「日本企業は資金力があり、大胆な還元策が可能ということだろう」と、しんきんアセットマネジメント投信の藤原直樹シニアファンド・マネージャーはみている。
4月後半から3月決算企業の決算シーズンが控えている。株主還元は「決算発表と同時に発表する企業が多い」(東海東京の仙石氏)ため、5月は自社株買いの発表が最も多い月となる。
同様の事例が増えれば日本株に関心が戻る可能性があると、しんきんAMの藤原氏はみており「目先は不透明感の強まりを受けて慎重になる企業が出てきかねないが、成長に向けた投資が増えると見直し機運が高まりやすい」と話す。
海外勢に関しても、昨年7月以降、売り越し額が10兆円超となっており、23年からの株高局面の買い越し約9兆円をすべて帳消しにした上で、なお売り越しに傾いており、きっかけさえあれば買い戻しの余地はある、との見方もできる。
JPモルガンの高田氏は、報復関税の動きが広がらなければリバウンドの目があるとしながら「見極めにはしばらく時間がかかりそうだ」とみている。
(平田紀之 編集:橋本浩)
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