- 2025/04/01 掲載
再送-インタビュー:トランプ関税、国内企業に痛手なら再生支援の必要も=全銀協新会長
Miho Uranaka Anton Bridge
[東京 1日 ロイター] - 全国銀行協会の半沢淳一(三菱UFJ銀行頭取)新会長はロイターとのインタビューに応じ、トランプ米政権の関税政策による影響について、日本企業の業績悪化につながる可能性があり、これに伴う雇用や所得への下押し圧力で企業や家計の返済負担の問題に発展するか見極めが重要との見方を示した。
悪影響を受ける国内企業に対しては、資金繰りや取引先企業とのビジネスマッチング、業務効率化に向けた支援などだけでなく「想定したくはないが、場合によっては再生支援的なもの」も必要になる可能性があると語った。その上で、トランプ政権の動きを分析し、丁寧な対応を進める考えを示した。
トランプ大統領は3月26日、輸入車に最大25%の関税を課す計画を発表。4月3日に発効する。既に25%の鉄鋼・アルミニウム関税も導入しており、4月2日に対米貿易赤字の大きい国々を対象とした相互関税も発表する方針。
自動車は、日本にとって最大の対米輸出品目で、乗用車の場合は現在の2.5%から27.5%へ関税が引き上がり、アナリストらは日本の国内総生産(GDP)を0.2%程度下押しすると試算している。
2月のロイター企業調査では、トランプ大統領の政策が自社の経営に与える影響について8割以上が「どちらかといえばマイナス」「マイナス」と答えた。そのうち約4分の3が「関税引き上げ・通商政策」を理由に挙げた。
半沢氏は日銀の金融政策にも言及し、経済・物価見通しの重要な要素である2025年春闘で「昨年を上回る賃上げ」が見込まれるなど、景気の緩やかな回復基調や物価上昇を裏付けとした賃上げが進む中、「日銀の判断として、金利を引き上げる可能性は少しずつ高まっていると思う」との個人的見解を述べた。
日銀は1月の金融政策決定会合で政策金利を0.5%に引き上げた。植田和男総裁が記者会見で、経済が過熱も冷え込みもしない中立金利には「まだ相応の距離があるとみている」と説明したことを踏まえて、半沢氏は「複数回の金利引き上げというのは今後あるだろう」との見方を示した。
政策金利に連動する短期プライムレート(短プラ)を基準とする住宅ローンへの影響については「大きくなるとは聞いていない」とし、多くの金融機関で金利が上昇しても5年間は毎月の返済額が変わらない「5年ルール」があることなどを理由に挙げ、今後も影響を注視していく考えを示した。
半沢氏は4月1日付で全銀協会長に就任した。
※インタビューは3月25日に実施しました。
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