米ＦＲＢ、24年は775億ドルの赤字　高インフレ抑制で

［２１日　ロイター］ - 米連邦準備理事会（ＦＲＢ）が２１日発表した２０２４年の財務状況は７７５億ドルの支出超過（赤字）となったが、赤字額は前年の１１４６億ドルより小さかった。赤字を計上したのは２年連続となり、高インフレを抑え込むための金融政策の取り組みが赤字の主因となった。

発表した財務状況は最終的な監査済みの数値で、年初に暫定の数値を発表するという数年来の慣行を破った。また、近年は報道発表用の資料を出していたが、２４年は６５ページの報告書で公表された。

ＦＲＢの赤字計上はまだ問題になっていないものの、議員から問題視されて不利な状況に陥ることへの懸念がくすぶっている。こうした懸念は、中央銀行に批判的なトランプ米大統領と、政府効率化省（ＤＯＧＥ）を率いるイーロン・マスク氏が政府を縮小し、支出を削減する積極的な計画を進める中で高まっている。

金融機関の準備預金などへの支払利息は２４年に２２６８億ドルとなり、政策金利の低下を背景に前年の２８１１億ドルから減少。保有債券から受け取る利息は２４年に１５８８億ドルとなり、前年の１７４５億ドルから減った。

ＦＲＢは赤字が発生した場合、バランスシート上の「繰り延べ資産」と呼ばれる項目に計上する。将来黒字化した場合には繰り延べ資産の解消後、法律で定められている通り剰余金を米財務省（国庫）に納付する。

今月１９日時点の繰り延べ資産は２２４４億ドルだった。アナリストらは、ＦＲＢが剰余金を財務省に納付できる状況になるまで何年もかかるとの見方を示している。