- 2025/03/12 掲載
トランプ関税で市場不安定化と国際決済銀 債務増に懸念表明せず
[ロンドン 11日 ロイター] - 国際決済銀行(BIS)は、トランプ米大統領の関税措置は非常に高い不確実性と市場の不安定化を招いていると指摘する報告書を公表した。世界経済は景気後退(リセッション)を避けられるとの見方は維持した。
米国の安全保障政策の転換を受けて欧州が防衛費を増額する計画を打ち出したことには市場が好意的に反応しているとして、債務増加に関する懸念は表明しなかった。
米国の債券利回りやドル、株式相場は、米経済が減速の兆しが見られることから、ここ数週間はいずれも下落している。一方、ドイツが債務上限を見直すという大きな転換となる計画を打ち出したことで、ドイツの債券利回りは急上昇した。
BISの調査部門を率いるシン・ヒョンソン氏は記者会見で関税以外での政策見直しにも言及した上で「政策変更を招くような関税は、二重の意味で助けにならない」と述べた。関税は消費者と企業の意欲をそぐほか、インフレをあおって中央銀行の金融政策運営を難しくする可能性があると指摘した。ただ、BISの基本シナリオは、世界経済の「ソフトランディング(軟着陸)」を想定していると述べた。
米国株式市場の投資家の不安心理の度合いを示すボラティリティー・インデックス(VIX)なども、新型コロナウイルス禍や世界金融危機の水準を大きく下回っているとし、ドイツや欧州の国債利回りの上昇は、今年はじめに急上昇した時よりもはるかに前向きに受け止められており、経済成長への期待があるとの見方を示した。
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