- 2025/03/10 掲載
ゆうちょ銀株の売出1444円、総額5900億円 日本郵政出資50%以下へ
Miho Uranaka
[東京 10日 ロイター] - 日本郵政は10日、傘下のゆうちょ銀行の株式を1株当たり1444円で売却すると発表した。追加売却分を含めた売り出し総額は約5900億円。日本郵政の出資比率は50%以下になり、ゆうちょ銀の経営の自由度が高まる。今後、新規業務の展開などにより成長を加速させたい考え。
日本郵政はすでに3日、ゆうちょ銀の自社株買いに応じて一部保有株を売却しており、売り出しを経て日本郵政のゆうちょ銀に対する出資比率(議決権ベース)は61.5%から50.0%まで低下する。銀行法上の認可を得られ次第、最終的に50%を下回る水準まで売却していく。
ゆうちょ銀行は、売却による株式需給の悪化を抑制するため、上限4000万株・上限400億円の自社株買いの取得期間を、株式の受け渡し日の翌営業日である18日から5月14日までの間実施する。
ゆうちょ銀には、郵政民営化法の規制である「上乗せ規制」が適用されてきた。郵政の出資比率が50%以下になることで認可制から事前届け出制に移行する。ゆうちょ銀によると、制約緩和により、新規業務展開の機動性・自由度を向上させ、中長期的な成長を加速させるという。
政府が約35%の株を保有する日本郵政の傘下のゆうちょ銀には、競合する金融機関から「民業圧迫」懸念の指摘も出ている。全国銀行業協会は株式売り出しの公表を受けて、「届出制への移行後も、適正な競争関係の取り組みが進められることを強く期待する」との声明を出した。
一方で、「金利ある世界」の到来で、ゆうちょ銀の業績は好調だ。25年3月期の連結純利益見通しは、日銀の利上げを追い風に資金利益の伸びがけん引し前年同期比12.3%増の4000億円を見込む。
日本郵政にとっては、子会社日本郵便の赤字を補いグループ利益を下支えするゆうちょ銀株の売却により利益貢献の減少をいかに補填できるかが焦点となる。売り出しによる調達資金について日本郵政は、物流分野への成長投資や株主還元などに充当すると説明している。
日本郵便は、物流準大手で東証プライム上場のトナミホールディングスの買収を発表。人手不足や人件費・燃料費の高騰など物流業界を取り巻く環境が厳しさを増す中で、連携を強化して成長を目指すとした。
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