- 2025/02/06 掲載
米シカゴ連銀総裁、関税によるインフレへの潜在的影響を警告
グールズビー総裁はデトロイトで開かれた同地区連銀の年次自動車シンポジウムで行った演説で、米経済は好調で、労働市場は「おそらく」完全雇用状態にあり、インフレ率は低下してFRBの目標である2%に近づいていると述べた。
その一方、サプライチェーンに対する一連の新たな課題として、火災やハリケーン、港湾労働者のストライキなど、自然および人為的災害、地政学的混乱などを列挙。移民問題や関税引き上げの脅威と貿易戦争激化の可能性も指摘した。
その上で「2025年にインフレ率が上昇したり、鎮静化が停滞した場合、米連邦準備理事会(FRB)はインフレが景気過熱から来ているのか、関税から来ているのかを見極めるという難しい立場に立たされるだろう。その区別はFRBがいつ行動すべきか、あるいは行動すべきか否かを決定する上で重要になるだろう」とした。
トランプ政権は先週末、メキシコとカナダからの輸入品に25%の関税を2月4日から課すと発表したが、その後、発動を3月1日まで延期した。中国からの輸入品に対する10%の追加関税は4日に発効した。
エコノミストらは一般的に、関税は一時的な価格上昇であり、それがインフレを永続的に引き起こしたり、経済の過熱を示唆したりするものではないとみており、中銀の対応は不要だと考えている。
しかしグールズビー氏は、トランプ大統領が第1次政権で輸入関税を導入した2018年と比べて、今回は「関税がより多くの国や品物に、あるいはより高い税率で適用される可能性があり、その場合、影響はより大きく、より長期化する可能性がある」と警戒感を示した。
中でも自動車業界では、トラックや自動車の最終組み立てに使用される部品が複雑なサプライチェーンの中で国境を何度も越える可能性があり、関税がさらに重くのしかかる可能性があると指摘した。
また、こうした関税が自動車購入者に直接転嫁されないとしても、他の形でインフレに影響を与える可能性があると示唆した。
サプライヤーは、メーカーが部品の値上げに難色を示すと考えており、結局はサプライヤーがコストを負担することになるとみられる。グールズビー氏は、すでに利益率が厳しい中、サプライヤーの倒産が相次ぐことを懸念しているとした。
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