- 2025/01/22 掲載
NY市場サマリー(21日)米国株続伸、ドル乱高下、利回り低下
トランプ米大統領は20日、就任後すぐの関税発動は見送ったものの、両国からの輸入品に25%の関税を2月1日に課すことを検討していると述べた。
主要通貨に対するドル指数は取引序盤から0.68%上昇。取引終盤では上げ幅を縮小し、0.01%高の108.00となった。先週は一時110.17と、2年以上ぶりの高値を付けていた。
マネックスUSAのFXトレーダー、ヘレン・ギブン氏は、ボラティリティーが明らかに大きく戻ってきたと指摘。トレーダーはメキシコとカナダへの関税リスクの回避を試みているが、そうした措置が実施に講じられるまで、市場の不安定さは続くだろう」と述べた。
ユーロは0.11%高の1.0425ドル。英ポンドGBP=は0.04%高の1.2328ドルとなった。
NY外為市場:[USD/J]
<債券> 米金融・債券市場では、前日に就任したトランプ米大統領が観測通りに就任初日に関税措置を発動させなかったことを受け、国債利回りが低下した。
利回りは2年債から30年債にわたって一時、1月初旬以来の低水準を付けた。その後は低下幅を縮小したものの、先週発表された12月の消費者物価指数(CPI)を受けた低下傾向が続いている。
トランプ氏は20日の就任後に直ちに関税を発動することは見送ったものの、両国からの輸入品に25%の関税を2月1日に課すことを検討していると述べた。
セージ・アドバイザリーの共同最高投資責任者(CIO)、トーマス・ウラノ氏は「トランプ氏は就任初日に関税を発動させないとの観測が出ていたところ、実際にその通りになった」とし、こうした中、国債利回りが低下していると指摘。トランプ氏の言動については、政策や政策意図を巡る多くの「レトリック(修辞法)」が飛び交うとし、「今後予想される典型的な展開」との見方を示した。
終盤の取引で10年債利回りは3.7ベーシスポイント(bp)低下の4.574%。一時は4.53%と、約2週間ぶりの水準に低下した。
米金融・債券市場:[US/BJ]
<株式> 米国株式市場は、主要3指数が続伸して取引を終えた。S&P総合500種とダウ工業株30種は約1カ月ぶりの高値を付けた。トランプ新大統領が2期目の就任初日に一律関税措置を講じなかったことから安心感が広がった。
20日に就任したトランプ氏は、以前に公約した一律関税や貿易相手国への追加関税について具体的な計画を示さなかった。ただ、早ければ2月1日にもカナダとメキシコからの輸入品に25%の関税を課すことを検討していると述べた。
投資家は関税や世界的な貿易戦争がインフレを押し上げる可能性を依然として懸念しているが、ゴールドマン・サックスは年内に世界的な関税が導入される確率は25%だとし、昨年12月予想の約40%から引き下げた。
BMOプライベート・ウェルスのチーフマーケットストラテジスト、キャロル・シュライフ氏は「昨日行われた第一弾の行政措置で関税の導入が見送られたことに安堵と驚きの声が上がっている」と語った。
この日は小型株で構成するラッセル2000指数が1.85%上昇し、大型株をアウトパフォーム。市場全般に買いが広がった。
S&P主要11セクターでは、0.64%安となったエネルギーを除いて全てが上昇。6セクターで上昇率が少なくとも1%となった。
工業が2.03%高と最大の上げだった。第4・四半期の好決算を受け4.2%上昇した複合企業スリーエム(3M)などが指数を押し上げた。
トランプ氏がエネルギー生産を促進する大統領令に署名したことから、公益事業も上昇。電力のビストラ、NRGエナジー、コンステレーション・エナジーなどが買われた。
米国株式市場:[.NJP]
<金先物> ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金塊先物相場は、安全資産としての需要から買われ、反発した。
トランプ米大統領は就任初日の20日、予想されていた全輸入品への10─20%の一律関税、および60%の対中関税の発動を見送った。ただ、同氏はその後、2月1日からメキシコとカナダに25%の関税を課すことを検討していると表明。これを受け、外国為替市場では21日朝にかけてドルの買い戻しが進行し、ドル建て商品の金は割高感に押されて軟調に推移した。
しかし、ドルが再び下げに転じると、金相場はプラス圏に浮上。新政権が打ち出す経済政策を巡っては不透明感が強く、安全資産としての需要が相場を支えた。トランプ氏が主張する関税、移民、減税などの各政策はインフレ高進を招くとされるが、一方で化石燃料の増産を指向するエネルギー政策は物価押し下げに寄与する可能性がある。このため、米金利やドルの上昇が抑えられるとの見方もくすぶり、投資家は警戒姿勢を強めている。
NY貴金属:[GOL/XJ]
<米原油先物> ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物相場は、トランプ米大統領が改めて原油増産に言及したことで需給緩和観測が強まり、3営業日続落した。
20日に就任したトランプ米大統領は、エネルギーの国家非常事態を宣言。化石燃料の増産を可能にし、物価引き下げを目指す考えを明確にした。米国における生産量がすでに記録的な水準にある中で、需給が今後一段と緩むとの観測が強まった。米エネルギー情報局(EIA)は20日付のリポートで、2025、26年は原油価格の低下を見込んでいると再確認した。
ロイターは20日、イエメンの親イラン武装組織フーシ派が、パレスチナ自治区ガザにおける停戦発効を受け、商船への攻撃をイスラエルと関連がある船舶に限定すると報じた。これを受け、紅海周辺の地政学的リスクを背景とした過度の供給不安が和らぎ、原油が売られた面もあった。
NYMEXエネルギー:[CR/USJ]
ドル/円 NY終値 155.50/155.55
始値 155.89
高値 155.94
安値 155.26
ユーロ/ドル NY終値 1.0429/1.0430
始値 1.0353
高値 1.0435
安値 1.0347
米東部時間
30年債(指標銘柄) 17時05分 95*05.50 4.8060%
前営業日終値 94*18.50 4.8450%
17時05分 97*14.50 4.5744%
10年債(指標銘柄)
前営業日終値 97*05.50 4.6110%
5年債(指標銘柄) 17時05分 99*29.50 4.3922%
前営業日終値 99*26.25 4.4150%
2年債(指標銘柄) 17時05分 99*30.50 4.2742%
前営業日終値 99*30.63 4.2720%
終値 前日比 %
ダウ工業株30種 44025.81 +537.98 +1.24
前営業日終値 43487.83
ナスダック総合 19756.78 +126.58 +0.64
前営業日終値 19630.20
S&P総合500種 6049.24 +52.58 +0.88
前営業日終値 5996.66
COMEX金 2月限 2759.2 +10.5
前営業日終値 2748.7
COMEX銀 3月限 3149.6 +35.5
前営業日終値 3114.1
北海ブレント 3月限 79.29 ‐0.86
前営業日終値 80.15
米WTI先物 3月限 75.83 ‐1.56
前営業日終値 77.39
CRB商品指数 308.8668 ‐2.2103
前営業日終値 311.0771
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