- 2025/01/17 掲載
中国万科CEOの拘束報道、苦境の不動産セクターへの懸念強める
[香港 17日 ロイター] - 中国不動産開発大手・万科の祝九勝最高経営責任者(CEO)を巡る拘束報道は同社の将来に関する憶測を呼び、苦境にあえぐ同国不動産セクターに対する懸念を強めている。
万科は国有企業が大株主となっていることから、ほとんどが民間保有のその他苦境デベロッパーと異なり、業界の危機から隔離されていると長らく見られていた。
そうした中、政府系紙の経済観察報は16日、理由に触れずに祝氏が15日に拘束されたと報道。また、万科が政府による買収と再編の対象となる可能性があると伝えた。
しかし、同紙の記事は17日に説明なしに削除され、祝氏のソーシャルメディアアカウントには万科の賃貸物件を宣伝する投稿が現れた。2人の友人によると、同氏が職務に復帰したことを示唆している。
また、中国メディアの財経は万科に近い関係筋の話として、祝氏がこの投稿後、金融機関や一部メディアに自身の無事を連絡したと伝えた。
ロイターの取材に対し、万科はコメントを避けた。公安省にファクスでコメントを求めたが、返答は得られなかった。
<ムーディーズが格下げ>
格付け会社ムーディーズは17日、販売不振と今後6─12カ月の相次ぐ満期日到来に伴う流動性の悪化を理由に、万科の企業格付けを「B1」から「B3」に2段階引き下げ、見通しをネガティブとした。
投資家は、長い間国家の後ろ盾を得ていると見られてきたデベロッパーに対して政府がどのように対処するのか注視している。
JPモルガンのアナリストは顧客向けノートで、今回のニュースが事実であれば万科は「運命を左右する」局面に立たされる可能性があると指摘した。
「CEOが『連れ去られる』、あるいは政府の介入というのは一瞬ネガティブに聞こえるかもしれないが、政府の最終的な決定が債務履行支援であるかどうかに注目する必要がある」とした。
万科の香港上場株は17日に一時9%下落し、昨年9月以来の安値を付けたが、その後下げ幅を縮小し、終値は3.1%安だった。深セン上場株は3.6%値を下げた。
PR
PR
PR