- 2024/12/04 掲載
伊中銀総裁、EUの生産性向上に向けた支出提唱 財源は共通債
[ローマ 3日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)理事会メンバーのパネッタ・イタリア中央銀行総裁は3日、欧州連合(EU)は生産性を飛躍させることで米国に匹敵する経済構築に向け、戦略的投資に資金を提供する支出プログラムを設定する必要があると訴えた。
財源として、2030年までの6年間にわたって年間8000億ユーロ(8410億4000万ドル)相当のユーロ共通債の発行を念頭に置いていると明らかにした。8000億ユーロは、EUの域内総生産(GDP)の約6%に相当する。スペイン・バルセロナで開催された第20回スペイン・イタリア対話フォーラムでの講演で語った。
パネッタ氏は「負債の増加幅は全体で見れば小さく、欧州経済の生産性を飛躍させることだけに使われる」と指摘。このような枠組みを採用すれば「加盟国の投資支出を抑え、公的債務をより迅速に削減することができるようになる」と述べた。
また、パネッタ氏はEUの生産性が低い根底にはイノベーションが不十分なことがあるとして「欧州企業の過去10年間の研究開発投資は米国企業の約60%にとどまっており、その差は時間の経過とともに拡大している」と問題視した。
EUは長年にわたって経済成長率で米国に遅れを取っている。EU欧州委員会が今年11月発表した経済予測によると、24年のEUのGDPは前年比0.9%増となり、増加率は米国の2.7%を大きく下回る見込みだ。
マリオ・ドラギ前ECB総裁(元イタリア中銀総裁)も9月に発表した約400ページに及ぶ報告書で、EUが年間7500億―8000億ユーロの追加投資が必要だと言及した。財源としてユーロ共通債発行を呼びかけたが、加盟国で経済規模が最大のドイツが拒否した。
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