- 2024/10/31 掲載
見通し実現していけば、金利引き上げ緩和度合い調整=日銀展望リポート
Takahiko Wada Kentaro Sugiyama Makiko Yamazaki
[東京 31日 ロイター] - 日銀は31日公表した「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)で現在の実質金利が「極めて低い水準にある」との認識を示し、今回示した経済・物価の見通しが実現していくとすれば、「引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことになる」との考えを示した。
同リポートでは、2025年度の消費者物価指数(生鮮食品除く、コアCPI)の前年度比上昇率の見通しを1.9%とし、前回の2.1%から引き下げた。24年度は2.5%、26年度は1.9%で変更しなかった。物価の基調的な上昇率は徐々に高まっていくと予想。見通し期間後半には物価安定目標とおおむね整合的な水準で推移するとの見方を示した。
生鮮食品とエネルギーを除くコアコアCPIの24年度の上昇率見通しは2.0%とし、前回の1.9%から引き上げた。25年度は1.9%、26年度は2.1%でともに据え置いた。
農林中金総合研究所の南武志理事研究員は、25年度の物価見通しが1.9%に下方修正され2%に届かないということで「おのずと利上げの余地が小さくなったのではないか」と指摘。そのうえで「日銀は2%を超えているうちに利上げしたいのではないか。12月に1回目の利上げのチャンスを狙い、2回目が来年の4─6月期と予想しているが、この2回目が微妙な状況になりつつある」との見方を示した。
<金融政策運営、海外経済の展開や金融市場の動向「十分注視」>
日銀は2%の「物価安定の目標」のもと、経済・物価・金融情勢に応じて適切に金融政策を運営していく。米国をはじめとする海外経済の今後の展開や金融市場の動向を十分注視し、経済・物価の見通しが実現する確度に及ぼす影響を見極めていく必要があると指摘した。
見通しに対するリスク要因として、海外の経済・物価や資源価格の動向、企業の賃金・価格設定行動などを挙げ、不確実性は「引き続き高い」と指摘した。このところ、企業の賃金・価格設定行動が積極化し、過去と比べると為替の変動が物価に影響を及ぼしやすくなっているとも指摘した。
リスクバランスは、経済の見通しについて「おおむね上下にバランスしている」、物価の見通しについては「25年度は上振れリスクの方が大きい」とした。wぱy
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