- 2024/10/24 掲載
セブン&アイ、グループ売上高は30年度30兆円へ 海外は投融資拡大
Ritsuko Shimizu
[東京 24日 ロイター] - セブン&アイ・ホールディングスは24日に実施した投資家・アナリスト向けの説明会で、2030年度にはグループ売上高30兆円以上(23年度17.7兆円)とする目標を打ち出した。井阪隆一社長は、コンビニエンスストア事業について「グローバルでの成長機会を的確にとらえることで、企業価値のさらなる向上が見込める段階に至っている」との認識を示した。海外でのコンビニ店舗展開は、これまでの「ライセンシングモデル」から「投融資モデル」に重心を移し、拡大を図っていく。
海外でのコンビニ事業展開については、戦略的投融資、ライセンス付与を合わせて、30年までに30カ国・地域に10万店の展開目標を改めて示した。24年2月末時点では20カ国・8万4652店となっている。
このうち、24年4月に100%取得したオーストラリアでは、30年までに1000店以上(24年は747店)に拡大させる計画を公表した。
海外コンビニ事業を担うセブン-イレブンインターナショナルの阿部真治会長は「朝起きて寝るまで必要なものが手に入る店は、コンビニの概念を変えるもの」と述べ、日本での展開のように、ガソリンを取り扱わない店舗の集中出店も行っていく考えを示した。セブン-イレブンインターナショナルの経常利益は30年までに倍増させる計画。若林健社長は「現在、新規の20カ国に優先国を絞って、さまざまな企業とコンタクトを取っている。既存国・地域でも数社と投資の話を進めている」ことを明らかにした。
苦戦する米セブン-イレブンのジョセフ・マイケル・デピント最高経営責任者(CEO)は、インフレやたばこの売り上げ減少など「マクロの経済状況は大きな向かい風になっている」と指摘。ただ、会員向けの特典の提供改善などにより「全体的には改善の方向にある」とした。
今後の持続的な成長に向けては、オリジナル商品やデリバリーの強化、コスト削減・効率化、店舗網の拡大という4つの戦略を示した。06年以降51件・7454店舗を買収し「M&Aで成功した実績を持っている」と強調、今後も積極的なM&Aを継続する方針も示した。
国内コンビニでは、コンビニとスーパーを組み合わせた新型店舗「SIPストア」について、永松文彦セブン-イレブン・ジャパン社長は「成果が正しいものだったと検証された。2万店へと拡大していく」と述べた。
SIPストアでは、通常のセブン-イレブンと比較してカウンターにある温かい商品や納豆や牛乳などの生活デイリー商品などの伸びが顕著で、粗利益率の向上も見込めるという。このため、既存店舗においても、カウンター商品や加工食品、雑貨などの非食品の導入を強化する。28年度に1万店以上、30年度には全店での対応を行い、1店舗の1日あたりの売上高(日販)を28年度には1万5000円、30年度には3万円引き上げる計画。
カナダの小売大手アリマンタション・クシュタールから7兆円規模での買収提案を受けている同社は10日、イトーヨーカ堂を含むスーパーや外食など非コンビニエンスストア事業を中間持株会社に集約、コンビニ事業を強化する施策を発表した。
井阪社長は「各事業がそれぞれの成長スピードや成長課題に合わせて事業シナリオを描き、自律的な財務規律で成長戦略にまい進することが可能となる」と説明。その上で「スピードを持って実行していきたい」と述べた。
スーパー事業を分離することによるコンビニとのシナジーのあり方を問われ、井阪社長は「持ち分法になるものの資本関係を持ちながらシナジーを上げていく。今まで通りシナジーを取り込める体制を維持していく」と述べた。
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