- 2024/09/30 掲載
クロスボーダーM&A、アジアで回復 日本で大型案件
[香港/シンガポール 30日 ロイター] - アジア太平洋地域で今年、クロスボーダー合併・買収(M&A)が回復している。日本企業が絡むM&Aが増えていることが背景だ。
LSEGのデータによると、1─9月のクロスボーダーM&A総額(発表ベース)は前年同期比25%増の2860億ドル。うち約80%がアジア太平洋域外の企業が絡むM&Aだった。
法律事務所ベーカー・マッケンジーのメンバーファームであるウォン&パートナーズのM&Aパートナー、アンドレ・ガン氏は「一部の国の政局が安定したことや、投資・ディールメイキングの累積需要、高金利の調整が再びM&Aを促し始める要因となっている」と指摘した。
1─9月のアジア太平洋地域のM&A総額は前年同期比0.2%減の6220億ドル。
クロスボーダーM&A増加の背景には、カナダの小売り大手アリマンタシォン・クシュタールによるセブン&アイ・ホールディングスの買収提案(385億ドル)など、大型のM&A案件が発表されたことがある。
著名実業家ルパート・マードック氏が保有するオーストラリアの不動産広告会社REAグループも、英不動産検索サイト最大手ライトムーブの買収(83億ドル)を提案している。
日本へのインバウンドM&A案件は16倍以上増加し、740億ドルと過去最高水準。アウトバウンドM&A案件も49%増の500億ドルに達した。
東南アジアでも、クロスボーダーM&Aが活発化している。ドイツの保険会社アリアンツは7月、アジア市場を強化するため、シンガポールの同業インカム・インシュアランスの過半数株式を約16億ドルで買収する計画を発表した。
ドイツ銀行のアジア太平洋M&A共同責任者ロヒト・サトサンギ氏は「アジア太平洋地域で進行中の案件の50%はグローバルなクロスボーダー取引だ」と指摘。再生可能エネルギー・天然資源関連の資産買収を目指す中国国有企業のアウトバウンドM&Aが復活すると予想した。
中国からのアウトバウンド案件は前年同期比8%減の140億ドルと、過去10年間で2番目の低水準。中国企業のM&A復活はディールメーカーに歓迎されるとみられる。
ウォン&パートナーズのガン氏は「2025年から26年にかけては、米連邦準備理事会(FRB)の利下げや米大統領選の結果判明を受けて、安定した状態が続き、M&A活動が復活すると予想される」と述べた。
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