- 2024/07/18 掲載
米利下げ「近づいている」とFRB当局者、9月利下げの布石か
[17日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)当局者は17日、インフレ軌道の改善と労働市場のバランス改善を踏まえ、利下げが「近づいている」と強調した。9月連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げ開始に向けた布石とみられる。
ウォラーFRB理事は、先週発表された6月の米消費者物価指数(CPI)が前月比で約4年ぶりに下落したことを受け、2カ月連続で「非常に良いニュース」が得られたと評価。
さらに、FRBが今後数カ月に直面する可能性のあるシナリオは3つあると指摘。最も「楽観的な」シナリオは「高い確率ではない」もののインフレ圧力が着実に低下し続けるというもので、そうなれば「そう遠くない将来に利下げが行われると予想できる」としたほか、より可能性の高いシナリオでは、インフレの鈍化がより不均一となり、2%の目標に持続的に回帰しているかどうかが疑問視されることで、「近い将来の利下げはより不確実となる」と述べた。
最後にインフレ再燃を最も可能性が低いものの、あり得るシナリオに上げた。
それでもウォラー理事は「最初の2つのシナリオが起こる可能性が最も高いと考えていることから、政策金利を引き下げる時期が近づいている」とした。
ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁は米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)のインタビューで、数カ月内に利下げが妥当となる可能性があると言及。過去3カ月のデータについて「われわれが求めているディスインフレ傾向に近づいている」とし、「前向きな兆候だ。インフレが持続的に2%目標に近づいていることが確信できる一段のデータを見たい」と述べた。
利下げ時期については、ウォラー理事は金融政策のラグ(遅延)やマクロ的な観点を考慮すると「9月、11月、12月のいつ利下げするかはあまり重要ではない」と指摘。ウィリアムズ総裁も「2カ月分のインフレ統計が出る7ー9月にかけて多くのことが分かるだろう」とし、両氏とも7月利下げの可能性を否定した。
リッチモンド地区連銀のバーキン総裁は、ディスインフレが経済全体に広がりつつあるようで「非常に勇気づけられる」とし、「この傾向が続くことを期待したい」と述べた。
同時に、ディスインフレの広がりが持続するかどうかは一段のデータを見極めたいという考えを示した。
こうした見解を反映し、金融市場が織り込む7月利下げの確率は5%未満となっている。
IIIキャピタル・マネジメントのチーフエコノミスト、カリム・バスタ氏はノートで、17日に発言した当局者3人全員が政策緩和の開始時期について「9月を指摘した」と述べた。
労働市場の状況については、ウォラー理事は、適度な雇用の増加という「好状況にある」と楽観的な認識を示し、FRBの二大責務の一つである最大雇用の達成については「ソフトランディングを達成できる可能性は十分にある」と述べた。
ただ、失業率が6月に4.1%に上昇したことに言及し、「失業率の上昇リスクがこれまで長い間見られなかったほど高まっている」と警告した。
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