- 2025/04/04 掲載
インタビュー:日本の成長率下方修正へ、利上げ1%で打ち止めか=桜井元審議委員
Takahiko Wada Leika Kihara
[東京 4日 ロイター] - 桜井真元日銀審議委員は4日、ロイターのインタビューで、米政権の関税政策で日本経済は下押し圧力を受けるとし、日銀は5月1日に公表する展望リポートで、2025年度の成長率の予測を0.6―0.7%程度に引き下げると予想した。1月時点の予測は1.1%だった。
桜井氏は、米国の関税政策の影響が指標などに表れる前の5月か6月に日銀が追加利上げする可能性があるものの、その後利上げペースは鈍化し、28年4月までの植田和男総裁の任期中に政策金利を1%程度まで引き上げる程度にとどまる可能性があると述べた。
桜井氏は、米国の関税の影響について、リーマン・ショックのような急速な金融システム不安とは異なるものの「氷河が流れてくるようなものだ」と述べ、実体経済の大幅悪化が確実に来ると警戒感を示した。日銀が5月の展望リポートで示す25年度の成長率は0.6―0.7%程度と、日銀算出の潜在成長率並みに下方修正されると予想する。日銀が目指してきた賃金と物価の好循環が持続するか不透明だと指摘。円高進展で企業収益は悪化が見込まれ、春闘における賃上げ率も「来年は確実に下がるだろう」と話した。
追加利上げについては、米国の関税政策の影響が経済指標でまだ確認できない5月か6月に可能性があると述べた。桜井氏は今年度の後半に関税の影響が経済指標ではっきり出てくると話した。
日銀はこれまで金融政策の方針について、実質金利が極めて低い中、「経済・物価の見通しが実現していくとすれば、それに応じて政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していく」と説明してきたが、桜井氏はこうした説明を「がらりと変えなければいけない」と話す。5月の展望リポートで修正された先行き指針を踏まえ、日銀が6月に利上げする可能性もあると述べた。
桜井氏はターミナルレート(政策金利の到達点)について「これまでは1.5%とみてきたが、今後は1%が非常に重要な数字になる」と述べた。1%であれば政治サイドの不満も少ないことが予想され、実体経済への影響もあまり出ないとの見方を示した。ただ、1%までの利上げはゆっくりと行われ「これから3年程度かけるのではないか」と述べた。
6月には国債買い入れ減額計画の中間評価が控えている。桜井氏は26年3月までは現行計画通りで減額していき、26年4月以降は月間買い入れ額を据え置くと予想する。米関税に伴う経済下押しへの対策として今後打ち出される補正予算が大規模になれば、国債発行が増えると予想されるため「その分国債を買い入れないと金利がどんどん上がってしまう」と述べ、国債買い入れ増の可能性にも言及した。
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