- 2024/06/06 掲載
NY市場サマリー(5日)ドル上昇、利回り低下 S&P・ナスダック最高値
午後の取引では、ドル指数は0.1%高の104.28となった。前日は4月9日以来の安値となる103.99を付けていた。
UBSのFXストラテジスト、バシリ・セレブリアコフ氏は、米ISM非製造業指数が好調であったにもかかわらず、米経済は減速しているとみていると指摘。ただ「完全にドル売りに走るべきかどうかは明らかではない」とし、「ドルにまだ大幅な下落余地があるかについては確信していない」と述べた。
ユーロはISM指標発表後にわずかに下落し、1.0874ドルとなった。投資家は6日に行われる欧州中央銀行(ECB)理事会を注視している。ECBは政策金利を過去最高の4.0%から引き下げると広く予想されている。
これに先立ち、カナダ銀行(BOC、中央銀行)は政策金利である翌日物金利の誘導目標を予想通り0.25%ポイント引き下げ4.75%とした。 発表後、米ドルは対カナダドルで上昇。終盤は0.1%高の1.3688カナダドルとなった。
また、ドルは円に対して0.8%上昇し、156.09円となった。4月の毎月勤労統計で実質賃金が25カ月連続の前年割れとなったことを受け、円は前日の上昇分を吐き出した。
<債券> 指標10年債利回りが2カ月ぶりの低水準を付けた。7日に発表される米雇用統計を控え、企業向け給与計算サービスのオートマチック・データ・プロセッシング(ADP)が発表した民間部門雇用者数の伸びが市場予想を下回ったことを受けた。
米雇用統計の非農業部門雇用者数のエコノミスト予想は18万5000人増。ただ、トレーダーらによると、足元では伸びが12万人近辺にとどまるとの見方に市場は備えつつあるという。
ジャニー・モンゴメリー・スコットの主任債券ストラテジスト、ガイ・ルバス氏は、エコノミスト予想にも大きくばらつきがあり、伸びが11万─13万人程度との予想も一部にあると指摘。今週発表された雇用関連指標がやや軟調だったことを考慮すると、この予想が「より可能性の高い着地点のように見える」と述べた。
ADPが5日発表した5月の全米雇用報告によると、民間部門雇用者数は15万2000人増加した。予想の17万5000人を下回り、伸びは今年1月以来の低水準になったほか、過去1年間の平均である19万4000人も大幅に下回った。
指標10年債利回りは5ベーシスポイント(bp)低下の4.289%。一時、4月1日以来の低水準となる4.287%を付けた。
2年債利回りは4bp低下の4.731%。一時5月16日以来の低水準となる4.726%に達した。
2・10年債の利回り格差はほぼ変わらずのマイナス44bp。
米供給管理協会(ISM)が5日に発表した5月の非製造業総合指数が53.8と4月の49.4から上昇し、昨年8月以来の高水準となった。これを受け、利回りが一時切り返す場面があった。
<株式> 続伸して取引を終えた。この日発表された経済指標を受けて米連邦準備理事会(FRB)の利下げ期待が高まる中、S&P総合500種とナスダック総合は過去最高値を付けた。
S&P500の主要11セクターでは情報技術が上げを主導したほか、通信サービスや工業も好調だった。一方、主要消費財は下落した。
企業向け給与計算サービスのオートマチック・データ・プロセッシング(ADP)が発表した5月の全米雇用報告によると、民間部門雇用者数は15万2000人増加した。予想の17万5000人を下回り、伸びは今年1月以来の低水準になったほか、過去1年間の平均である19万4000人も大幅に下回った。
前日発表された4月の雇用動態調査(JOLTS)に続いて労働需給の緩和を示し、年内利下げに対する期待が高まった。
CMEのフェドウオッチによると、市場は現在、9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げの可能性を69%近くとみている。先週は50%前後だった。
半導体関連株はエヌビディアや台湾積体電路製造(TSMC)の上昇を受けて4.5%高。エヌビディアは時価総額が3兆ドルを突破し、アップルを抜いて世界2位となった。
ヒューレット・パッカード・エンタープライズ(HPE)は10.7%急伸。人工知能(AI)関連サービスへの需要を追い風に、第3・四半期の売上高見通しが市場予想を上回った。
ディスカウントストア大手ダラー・ツリーは四半期業績見通しが失望感を誘って4.9%下落。同社は「ファミリー・ダラー」の売却もしくは分離を含む選択肢を検討する方針を示した。
インテルは2.5%高。アイルランドにある製造施設の合弁事業に米プライベートエクイティ(PE)会社アポロ・グローバル・マネジメントが110億ドル出資し、株式49%を取得すると発表した。
<金先物> 米雇用関連指標が予想を下回ったことや米長期金利の低下などを背景に買い進まれ、反発した。中心限月8月物の清算値(終値に相当)は前日比28.10ドル(1.20%)高 の1オンス=2375.50ドル。これは中心限月ベースで5月下旬以来約2週間ぶりの高値水準。
各国の中央銀行が引き続き金塊を積極的に購入していることも相場の支援要因。産金業界団体ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)が5日までに公表したリポートによると、4月の世界の中銀による金の純購入量は33トン。トルコ、カザフスタン、インドなど8カ国の中銀が金1トン以上を購入した。このうち、トルコ中銀が最大の8トンを購入。中国人民銀行は購入ペースが大幅に減速しており、2トン未満にとどまった。
<米原油先物> 労働市場の軟化を示唆する新たな統計の発表を受けて米利下げ期待が高まり、6営業日ぶりに反発した。米国産標準油種WTIの中心限月7月物の清算値(終値に相当)は、前日比0.82ドル(1.12%)高の1バレル=74.07ドル。8月物は0.76ドル高の73.82ドルだった。
米エネルギー情報局(EIA)が午前に公表した週報によると、5月31日までの1週間に米原油在庫は120万バレル増加。市場予想(230万バレル減)に反して積み増しとなった。また、ガソリン在庫も210万バレル増と、市場予想(200万バレル増)を小幅に上回った。需給の緩みへの警戒感から、市場は売りで反応。相場は一時73ドル台を割り込んだ。
しかし、その後は流れが反転。この日発表された米経済指標は、S&Pグローバルとサプライ管理協会(ISM)がそれぞれ集計したサービス業購買担当者景況指数(PMI)が前月から上昇した一方、ADP調査の民間就業者数の伸びは予想を下回った。強弱まちまちの結果となったが、このところ低調な雇用関連指標が続いていることから、市場ではFRBが9月にも利下げを開始するとの期待感が持続。緩和方向への政策転換がエネルギー需要を後押しするとの思惑から買いが膨らんだ。また、7月物は前日に清算値ベースで4カ月ぶりの安値を付けており、押し目買いも入りやすかった。
ドル/円 NY終値 156.10/156.13
始値 156.06
高値 156.48
安値 155.73
ユーロ/ドル NY終値 1.0868/1.0870
始値 1.0866
高値 1.0891
安値 1.0855
米東部時間
30年債(指標銘柄) 17時05分 103*06.50 4.4306%
前営業日終値 102*10.00 4.4840%
10年債(指標銘柄) 16時51分 100*25.00 4.2774%
前営業日終値 100*10.00 4.3360%
5年債(指標銘柄) 17時05分 100*29.25 4.2941%
前営業日終値 100*21.00 4.3520%
2年債(指標銘柄) 17時05分 100*09.00 4.7243%
前営業日終値 100*06.25 4.7700%
終値 前日比 %
ダウ工業株30種 38807.33 +96.04 +0.25
前営業日終値 38711.29
ナスダック総合 17187.91 +330.86 +1.96
前営業日終値 16857.05
S&P総合500種 5354.03 +62.69 +1.18
前営業日終値 5291.34
COMEX金 8月限 2375.5 +28.1
前営業日終値 2347.4
COMEX銀 7月限 3007.3 +45.6
前営業日終値 2961.7
北海ブレント 8月限 78.41 +0.89
前営業日終値 77.52
米WTI先物 7月限 74.07 +0.82
前営業日終値 73.25
CRB商品指数 287.7124 +1.4456
前営業日終値 286.2668
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