- 2024/06/05 掲載
中国AI半導体企業、TSMC向けに低性能製品を設計=関係筋
[シンガポール 5日 ロイター] - 人工知能(AI)向け半導体を手がける中国企業の一部は半導体受託生産の世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)に引き続き自社製品を生産してもらえるよう、性能が比較的低いプロセッサーの設計を進めている。米国の対中国制裁が背景にあるという。事情に詳しい4人の関係者が明らかにした。
米政府は中国によるAIやスーパーコンピューティングの軍事利用を阻止するため、エヌビディアなど米半導体大手企業のプロセッサーや、半導体製造措置に一連の輸出規制を課している。これらの規制により、米国の製造装置を利用しているTSMCや外国の半導体製造企業も受注が制限される格好となっている。
関係者の話では、米政府が昨年10月に課した最新の輸出規制により、中国の先進半導体生産能力が非常に限定される一方、中国のAI向け半導体設計企業のTSMCに対する依存度の大きさが浮き彫りになった。
こうした中で2人の関係者によると、中国のAI用半導体企業のメタXとエンフレームは昨年終盤、米国の制裁に対応するため、性能を落とした自社製半導体の設計図をTSMCに提出した。
メタXとエンフレームは従来、自社の半導体を、エヌビディアの画像処理装置(GPU)と互換性のある製品として売り出していた。
関係者2人の話では、上海を拠点とするメタXは「C280」と呼ばれる性能を引き下げた製品を開発した。同社の最先端GPUである「C500」は今年、中国内で在庫切れになったという。
メタXは2020年に米半導体大手アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)の元幹部が設立。エンフレームは昨年に27億ドルの資金を調達した際、中国インターネットサービス大手の騰訊控股(テンセント・ホールディングス)などから支援を受けた。両社はロイターのコメント要請に返答しなかった。
TSMCは個別顧客についてのコメントは差し控えるとした。
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