- 2024/05/23 掲載
エヌビディア決算:識者はこうみる
<楽天証券経済研究所 チーフアナリスト 今中能夫氏>
決算は市場の予想を大幅に上回る100点満点の内容だった。アナリスト会見ではデータセンター向け需要が相変わらず大きいことが示された。既存顧客のクラウドサービス会社向け需要が旺盛で、需要構造に変化がないのはいいサインだ。
年後半から来年にかけてDRAMをはじめとするメモリー半導体への投資も活発化するとされているため、東京エレクトロン、アドバンテスト、ディスコなどの国内半導体装置メーカーも恩恵を受けるとみている。
ネガティブ要素を敢えて挙げるなら、研究開発費を大幅に積み増したことで、粗利益率見通しが低下したことだろう。同社の次世代GPU「ブラックウェル」の製造工程は複雑で、受託生産を行う台湾積体電路製造(TSMC)へのコストがかさむとされている。
今後の注目点は、ブラックウェルの供給状況だ。8─10月頃には需要がはっきりみえてくるだろう。TSMCが生産能力を拡張できるかも注目される。
<T&Dアセットマネジメント チーフ・ストラテジスト兼ファンドマネージャー
浪岡宏氏>
エヌビディアの決算内容は非常に良かった。5―7月の売上高見通しが市場予想を上振れた点は当然ポジティブ。第1・四半期の調整後粗利益率が市場予測を超えてきた点も評価できる。かつ、現在のエヌビディアの株価は高すぎる状況ではないとみており、上値を追う余地は十分にあるだろう。
今後は日本の半導体関連株も上昇する可能性が高く、日経平均を押し上げるとみている。同社のサプライヤーである台湾積体電路製造(TSMC)<2330.TW>の業績が上向くとみられ、国内では特に、東京エレクトロン <8035.T>の上昇が期待できるのではないか。
<オムディア シニアディレクター 南川明氏>
大方の予想を上回る内容だった。米ハイテク大手各社は生成AI(人工知能)による学習を進めているところで、活発なデータセンター投資が少なくとも来年あたりまで継続する。売り上げや営業利益の上昇は続くとみている。
競合チップが出てきており完全独占ではないが、ユーザー向け開発ツールがそろっているエヌビディアの優位性は、来年いっぱいは継続するだろう。新型チップの発売を前にした買い控えで秋口あたりに業績がスローダウンする可能性はあるものの、新製品が出ればそちらの売り上げが伸びる。
同社の半導体を受託生産する台湾積体電路製造(TSMC)<2330.TW>による先端プロセス投資はもう一段、加速するとみられ、国内の装置メーカーにとって追い風になり得る。
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