- 2024/04/11 掲載
焦点:「米利下げ年内なし」も、物価高懸念でポートフォリオ再調整進む
[11日 ロイター] - 米インフレ再燃懸念が台頭し、投資家はほぼ見込んでいなかった2024年のシナリオ、すなわち利下げがない事態に備える必要に迫られている。
米連邦準備理事会(FRB)の金融緩和を巡る期待は急速に低下。10日に発表された力強い消費者物価指標を受け、先物市場では今年の金利低下幅はわずか40ベーシスポイント(bp)と見込まれ、年初の150bpから縮小した。
金融緩和を期待してここ数カ月間にわたって株式や債券に投資した市場参加者の一部はポートフォリオの再調整に乗り出している。
ヘッジファンドNWIのマネジングディレクター、タラ・ハリハラン氏は「年内に米利下げが行われない可能性、少なくとも市場が現在織り込んでいる水準よりも利下げが少なくなる可能性に向かっている」と語った。
T・ロウ・プライスの資本市場担当ストラテジスト、ティム・マレー氏は、債券から資金をシフトしているとした上で「債券はリセッション(景気後退)ヘッジとしては非常に優れているが、インフレヘッジとしてはあまり優れていない」と指摘。原油価格とともに上昇し、インフレヘッジとして人気の高いエネルギー株のポジションを増やしている。
S&Pエネルギー株は年初来で17%上昇し、S&P500の8.2%上昇をアウトパフォームしている。
世界最大の資産運用会社ブラックロックのグローバル債券担当最高投資責任者(CIO)、リック・リーダー氏は、27億ドル規模の「ブラックロック・フレキシブル・インカムETF(上場投資信託)」といったいくつかのポートフォリオの金利エクスポージャーをここ数カ月で減らしたと明かした。
これとは対照的に、米債券運用大手PIMCOは最近の下落を受けて債券価格がより公正になったと見なし、金利エクスポージャーを引き上げている。「どちらかといえば、いつオーバーウエートにすべきか、という方向で検討している」とポートフォリオマネジャーのマイク・クジル氏は述べた。
NWIのハリハラン氏は、期間が長めの米国債利回りについて「国債の供給が多いことを考えると低過ぎる」と述べた。
一方、株式市場では警戒感が高まっている。バンク・オブ・アメリカのノートによると、同社の顧客は先週、株式を差し引きで34億ドル売却。個別銘柄からの資金流出は23年7月以来最大だったという。
ウェルズ・ファーゴ・インベストメント・インスティテュートのグローバル市場担当シニアストラテジスト、スコット・ウレン氏は、同社は株式購入資金の「待機場」として短期債券を活用していると説明。「FRBによる次の動きは下向きだが、待つしかない」と語る。
株式投資家はまた、デリバティブ市場でプロテクションを求めており、投資家のポートフォリオ保護に対する需要を示すオプションベースの指標「Cboeボラティリティー指数」は2カ月ぶりの高水準付近で推移している。
資産運用会社オールスプリングのシニアポートフォリオマネジャー、ブライアント・バンクロンカイト氏は、コモディティー(商品)価格の持続的な上昇がインフレを加速させ、利下げ予想を後退させる可能性があり、株式にとって大きなリスクになり得ると指摘。株価の次の動向を予測するのは困難とし「10%上がるか10%下がるか、正直なところ私には分からない」と述べた。
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