- 2024/03/04 掲載
トランプ関税、独GDPを少なくとも1.2%押し下げ=経済研究所
[ベルリン 4日 ロイター] - ドイツ経済研究所(IW)は4日、今年の米大統領選でトランプ前大統領が返り咲き、提案通り輸入関税を引き上げれば、ドイツの国内総生産(GDP)が2028年までに少なくとも1.2%縮小するとの見通しを示した。
トランプ氏は全ての輸入品に10%の関税をかけることを提案。中国からの輸入品については関税を40%ポイント引き上げ60%にすると主張している。
IWによると、この関税が実現した場合、米国では当初の数年間、消費者物価の上昇や失業増大などが消費を圧迫するほか、信頼感が揺らぎ投資に短期的な悪影響が出る結果、GDPが一時的に1─1.4%押し下げられる見通し。
ただ、貿易・財政収支の改善により、米GDPは28年には小幅なマイナスにまで回復するという。
一方で欧州、特に輸出依存度の高いドイツなどは、はるかに深刻な影響を受ける。ドイツのGDPは輸出の減少とその後の民間投資の落ち込みで28年までに1.2%減少するとみられる。
中国が対抗措置を打ち出し、自国の輸入関税を40%ポイント引き上げれば、ドイツのGDPは最大1.4%減少する可能性がある。
IWは「欧州連合(EU)はそうしたシナリオへの準備を今進めるべきだ。バイデン米大統領の残りの任期を利用して米国との通商関係をさらに強固にする必要がある」と指摘。
具体的には、米EU貿易技術評議会の制度化、重要鉱物協定の締結、グリーン・スチールやグリーン・アルミニウムの貿易に関する協定の締結を挙げた。
次にEUがオーストラリア、南米南部共同市場(メルコスル)、インドネシア、インドなどのパートナーともさらに自由貿易協定を結ぶ必要があると指摘。「トランプ氏が当選し、EUに対する新たな貿易障壁を設けると脅した場合、EUは対抗できなければならない」とし、信頼できる報復措置の導入を表明する必要があるとしている。
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