- 2024/03/04 掲載
英財務相、大型減税期待をけん制 経済見通し悪化で
[ロンドン 3日 ロイター] - 英国のハント財務相は報道機関とのインタビューで、総選挙を控えた大型減税への期待をけん制する発言を繰り返し、6日予定の春季財政報告(春の予算編成方針)で景気の先行き見通しの悪化を理由に大型減税に慎重な方針を打ち出す考えを示した。
ただ、国民保険料の引き下げには継続的に取り組んで国民の理解を得たいとの考えをほのめかした。
今年後半とみられる総選挙を控え、世論調査で与党保守党の支持率は野党労働党に水をあけられている。保守党内では、支持率回復の最後のチャンスが大型減税を盛り込んだ予算案だとの声が高まっており、スナク首相とハント財務相に実現を迫る圧力がかかっている。
ただ、政府の債務管理は急務。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)とエネルギー価格の高騰に伴って公的債務残高が国内総生産(GDP)比でほぼ100%にまで急増したためだ。
財務相は英紙サンデー・テレグラフのインタビュー記事で、予算案の根拠となる経済見通しが「昨年11月の秋季財政報告ほど楽観的でない」と述べ、景気の下振れ懸念を表明した。
その上で「予算案では、インフレ抑制で進展があったことに加え、財政に責任を負う重要性も強調する見通しだ」と指摘。国民の税負担が第2次世界大戦以降で最も重い状態だが、軽減までには「長い道のり」があると述べた。
ただ、3日の英スカイニュースとのインタビューでは「昨年の秋季財政報告が転機となった国民保険料の引き下げは、一定の進歩を念頭に置いている」と踏み込んだ。一方で「借入を増やして減税するのは保守党の理念に反する」と念を押した。
英債券市場はスナク政権の財政政策を注視している。トラス前政権が18カ月前、財源のない大型減税計画を国民に公表した際に金利が急上昇したためだ。後継のスナク政権では、ハント財務相が直ちに撤回しなければならなかった。
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