- 2023/12/01 掲載
日本企業、調達リスクに備え=EV電池材料、中国が輸出規制
中国政府がグラファイト(黒鉛)の輸出を1日から許可制にしたことを受け、日本企業は中国からの調達が滞るリスクへの対応を急いでいる。黒鉛は電気自動車(EV)に搭載するリチウムイオン電池の材料。日本は輸入量の8割以上を中国に依存しており、調達先の多様化が課題となる。
EV電池の負極材を生産する三菱ケミカルグループは、黒鉛のほぼ全量を中国から調達し、中国山東省の青島と香川県坂出市の工場で製造する。日本への供給が滞った場合は、青島での生産を増やして対応する方針。中国への依存を減らしていくため、オーストラリア企業との協業でノルウェーやモザンビークからの調達も検討していく。
パナソニックホールディングスの電池事業子会社は、黒鉛の鉱山を保有するカナダ企業と連携して供給網の強化を進めている。EVに注力する日産自動車は「現時点でEV生産に影響は出ていない」(広報)と説明しているが、電池の仕入れ先には在庫の積み増しや代替調達先の検討を依頼した。
中国の輸出規制は黒鉛以外にも及ぶ。半導体の材料に使われるレアメタル(希少金属)のうち、ガリウム、ゲルマニウムの関連品目の輸出を8月から許可制に変更。11月にはEVモーターに使うレアアース(希土類)の輸出管理も強化した。
政府は、中国による重要鉱物の輸出管理の運用状況を注視していく方針だ。西村康稔経済産業相は1日の閣議後記者会見で、経産省と中国商務部の間で先に合意した「日中輸出管理対話」の枠組みを活用し「世界貿易機関(WTO)などの国際ルールに照らして不当な措置が講じられた場合は、ルールに基づき適切に対応する」と強調した。
【時事通信社】
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