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- 2022/06/08 掲載
【単独】伊藤穰一氏が「web3は世界を変える」と主張する納得すぎる理由
NFTの登場によって本格化する「クリプトエコノミー」
皆さんの中には、web3を何かよくわからない世界、と受け止めている方もいるかもしれません。この大きな流れを理解するうえでカギになるのが、暗号資産(クリプト)によるクリプトエコノミーの成り立ちを知ることです。関連記事:「意味は分かるが腹落ちしない」Web3.0というバズワード、なぜ注目を集めているのか?
クリプトエコノミーとは、仮想通貨やトークンをベースとした新しい経済圏のことです。近年、何かと話題のNFTも、クリプトエコノミーで流通するトークンの一種です。
私がクリプトと初めて出会ったのは、1990年代、暗号通貨に興味のある仲間とともに独自のクリプト開発を試みたのが始まりです。2010年代には、米国のMITで暗号通貨プロジェクトの立ち上げや、米国デジタル通貨の研究に携わっていたこともあります。ただこの間、クリプトが大きなトレンドに発展することはありませんでした。
ところが、2021年初頭から突然、「クリプトエコノミー」が現実味を帯びてきて、今年は「web3元年」と呼ばれるまでになりました。
クリプトもブロックチェーン理論もずっと以前から存在していたのに、なぜ突然、2022 年を「web3元年」とするのでしょうか。それはトークン全体の時価総額が上がると同時に、クリプトエコノミーのインフラが整い、NFTなどトークノミクス(トークン経済圏)が駆動するような「web3」を形成する条件が整ってきたからです。
きっかけとなったのがNFTの大ブレークです。NFTが扱うのはアートやスポーツ選手の名プレー動画など、分かりやすいものばかりです。その分かりやすさが、これまで「ブロックチェーン」や「仮想通貨」にピンときていなかった層にも届きました。
去年と比較するとややブームが落ち着いてきた感はありますが、私はむしろ今が好機だと捉えています。フィーバーが冷めて落ち着いた時こそ、人材やエネルギーが正しい方向に注がれるようになるからです。
メタバースとVRがまったく違う理由
クリプトエコノミーの立ち上がりとともに脚光を浴びるようになった「メタバース」についての定義は色々とありますが、私はクリプトによって形成されたバーチャル上の経済圏のことだと考えています。バーチャルリアリティ(VR)自体は、1980年代からありました。米国のNASAで研究がはじまり、90年代にはゲームの世界で盛んに取り入れられるようになった技術です。ただこのVRを含めたXR(VR/AR/MRなどの総称)といった技術は、ディスプレイ技術やコミュニケーション技術を磨くためのもので、バーチャル上に経済圏を作るためのものではありません。
一方、メタバースは、ほしいアイテムや土地を買ったり、売ったり、交換したりといったマネタイズがバーチャル上でできるものです。もちろん、一部のバーチャルゲームの世界では、似たようなマネタイズが行われるものもありました。
ですが、それはそのゲーム内でしか通用しないアイテムであり、別の世界に持って行くことができないクローズドなものでした。しかし、web3やNFTを前提としたメタバースでは購入したアイテムや土地は、別のメタバースでも存在し続けることが可能になります。
それを可能にしたテクノロジーが、「ブロックチェーン」技術です。ブロックチェーンとは簡単にいうと「暗号技術を使って決済(支払い)などの取引(トランザクション)を1本の鎖のようにつなげて記録する(その記録は誰もが閲覧可能)」という技術です。
自分が所有しているトークン、たとえばNFTなどはすべてブロックチェーンに記録されますから、アプリケーションの縛りなく、その技術に準拠していればどこにでも持ち出すことが可能になりました。
バーチャルリアリティやゲームではデジタル上の「道具」の一種にすぎなかったものが、メタバースではきちんとした「資産」として扱えるようになる。そういう意味で、メタバースはゲームより圧倒的にスケーラビリティのあるバーチャルな世界と言えるのです。
【次ページ】web3を理解するためのWeb1.0、Web2.0とは
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