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- 2021/12/27 掲載
エッジ・コンピューティング注目のワケ、進化支える3つの技術をガートナーが解説
約8割がエッジ・コンピューティング利用に前向き
IoTの普及を背景に、新たな通信技術であり概念でもある「エッジ・コンピューティング」への関心が企業間で急速な高まりを見せている。ガートナーが2021年に実施した調査でも、エッジ・コンピューティングの採用を計画する企業は、検討中との回答を含めてすでに77.7%に達するほどだ。山本氏は、「従来よりもはるかに高速かつ低遅延を実現した5G通信が国内でも2020年にサービスを開始したことで、エッジ・コンピューティングは一気に身近なものとなりました。5Gのサービスエリアが限定されていることは課題ですが、それが解消されることで、エッジ・コンピューティングはクラウドに次ぐ競争力強化やDXの策として、今後の急速な普及は間違いの無いところです」と説明する。
エッジ・コンピューティングが注目される理由。IoTの一連のデータ処理プロセスを確認することで、容易にその理由を理解できる。
ファナックや小田急も実践、エッジ・コンピューティングのメリット
IoTでは現場で生成されたセンサーデータなどを収集/分析し、その結果を基に、現場のデバイスに各種の指示を出す。しかし、そこでは、クラウド上でのデータ処理によって現場とクラウドとの物理的な通信距離が伸び、また、中継サーバなどを挟むことから、それだけ通信時間が長引くことが課題となる。必然的に、高いリアルタイム性を要す用途では適用が難しく、しかも、生成するデータが増えるほど、通信コストもかさまざるを得なかった。対して、エッジ・コンピューティングの最大の特徴は、データ処理を現場とクラウドの間に設置したエッジサーバで行うことだ。
これにより、通信距離が格段に短くなることで通信時間が短縮される。また、クラウドを利用しないため、データがいくら増えても通信コストが変わらない。
「エッジ・コンピューティングにより低遅延での高速なリアルタイム処理が可能になり、自動運転車や不良品検査、防犯など、非常に短時間での処理が求められる用途までIoTの適用範囲が拡大します。また、通信コストの問題も解消でき、画像解析といった大量データを用いる仕組みの構築にも、容易に乗り出せます」(山本氏)
エッジ・コンピューティングの業務活用を本格化させている企業の1社が工作機械メーカーのファナックだ。同社では、産業用ロボットの学習情報共有やセンサーデータのディープラーニング解析などを支援する製造現場向けIoTプラットホーム「FIELD system」を自社工場に導入。工作機械などから収取される各種データのエッジ処理でリアルタイム処理を実現し、製造スピードの高速化などで成果を上げている。
また、小田急電鉄では21年2月、人手で行っていた通行量調査を、AIエッジカメラ「IDEA counter」に置き換える実証実験を実施。この取り組みではAIカメラ内で映像を分析し、結果だけをクラウドに送る仕組みを採用することで、通信コストの削減を実現した。
人手での作業よりも調査コストを抑えられることが確認でき、今後は長期的な継続調査にも活用を進める計画だ。これら以外にも、現場作業の自動化やコンテンツ配信ネットワークなどでのデータ送受信の効率化など、多彩な利用シーンが見込まれている。
【次ページ】業務適用へアイデア競争本格化?3つの技術進化が追い風に
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